そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.389  紅葉見物


 京都の紅葉は一昨年だった。奥出雲・鬼の舌震いは去年だった。今年はひょいと思いついて帝釈峡へ出かけることにした。帝釈峡は広島県,中国自動車道東城インターを下りてすぐのところにある。といっても下りてからの詳しい道が分からないので,カーナビの力を借りることにした。カーナビを買ってからまだ2回ほどしか使っていないので,よく分からない。目的地を電話でも入力できるはずなので,乗ってから考えよう。朝8時出発。

 カーナビの電源をいれて,画面を見ると,前回の目的地島根県立美術館が出てきた。そうじゃないんだ,今回は帝釈峡だと入力しようとするが,どうしても受け付けてくれない。なんだ,いざというときには役に立たない。こんな物使わなくても行けるだろう。とあきらめて,地図を頼りにすることにした。

 中国道は妻と二人でたびたび走っているから問題ない。途中の街路樹の紅葉を見ながら,目的地の紅葉を想像しながら,大佐(おおさ)で休憩を取っただけで10時半過ぎには東城着。確か帝釈峡休暇村の電話番号が載っていたと考えて,標識に従って左に車を向けて走るとその施設はあった。
 休暇村にはさまざまな設備がある。ゲートボール場,テニスコート,体育館,キャンプもできそうだし,食事をするところもある。しかも楓が見事に紅葉している(写真)。しかし,ここは帝釈峡ではないようだ。神龍湖という湖もないし渓谷でもない。以前来たことがあるという妻が,
「ここではない。湖のほうに抜ける道があるに違いない。」
と,抜け道を探すが見当たらなかった。仕方なく左折したところまでバックして直進すると,あった。大きな駐車場があり,付近の楓はきれいに紅葉し,多くの観光客がいる。

 昼近くなっているが,一周してこようか。湖(と言えるのかどうか,下の方にある水にボートが浮かんでいる)の遊歩道を廻る。今年の紅葉は,たびたび襲った台風のためにあまりよくないと言われていた。確かにそれは否定できない。葉が吹きちぎられていたり,風にもまれたためか黒ずんでいたりで,きれいに紅葉していないところが多い。自然を相手のことだ,なかなか難しい。それでも休日とあって多くの観光客が駐車場を埋め,遊歩道を散策していた。昼食も予約していなかったのでかなり離れたところでないととれなかった。

 帰り道,コースを蒜山の方にとる。こちらはよかった。山が全部染まっている。わざわざ帝釈峡まで行かなくても蒜山でよかったのかな。でも,帝釈峡休暇村の辺りの紅葉の美しさを見つけられただけでも収穫だった。