そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.393  サザンカ

 ♪♪サザンカ サザンカ咲いている たき火だ たき火だ落ち葉たき
   あたろうか あたろうよ しもやけおててが もうかゆい
            (作詞 巽聖歌  作曲 渡辺茂)

 サザンカ 山茶花 ツバキ科ツバキ属の常緑樹。学名はCamellia sasanqua(カメリア属サザンクア種)種名のサザンクアは和名のサザンカに由来している。
 では,よく話題になる「ツバキとサザンカの違いはどこですか?」。
「サザンカは@花が秋から咲く,A花が平らに開く,B花びらが1枚ずつ散る,Cオシベが基部まで別れている,D子房に毛が生えている,E葉がツバキより小さく,若い枝から葉の主脈にかけても毛がある,などが上げられます。」「もっともサザンカのグループに,冬に咲くカンツバキや冬から春に咲く冬サザンカなどがあり」間違えそうだ,と『花を贈る事典366日』の西良祐氏は言う。

 私の家にはサザンカもツバキもあるが,普通のものなので(ちょっと前に書いたナツツバキが変わり種かもしれない),あまり迷うことはない。花をたくさんつけるツバキもあるが,開ききったかどうかというところで花弁が茶色になって,ボテッと落ちてしまう。これがきちんと咲いてしばらく長持ちすればいいのに,といつも思う。だからツバキは童謡にならないのかもしれない。

 ところで,初めに上げた童謡「たき火」は,昭和16年(1941)に発表されたものだという。この第二次世界大戦の始まった年(私が生まれた年でもある)に生まれたこの歌は,軍から禁止され(いったい何が気に入らなかったのかわかりませんが)ほとんど放送されず,戦後になって広く歌われるようになったのだそうだ。いいものはいつか認められるということか。しかし,そんな姿ももう消えようとしている。

 たき火はまだこの辺りでは実際に行われ,生きている風景である。しかし,路上でのたき火が行われることはほとんどなくなったと思うし,しもやけも子ども達の手に見られなくなった。みんな車で移動だから寒い道を「相談しながら」歩く人もない。
 サザンカの垣根に沿う道でなくてもいい,ゆったり歩きながら話し合えば言い考えも浮かぶかもしれない。

  山茶花の散るにまかせて晴れ渡り  永井龍男