そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.394  家路・11月演劇鑑賞会

  今回の演劇鑑賞会から私と妻と2人とも会員になることにした。2か月に1回の演劇鑑賞の機会だし,共通の話題も増えていいだろうと思う。これまでも何度か都合が悪くて鑑賞会にこられない会員の入場券が回ってきて,2人で見たこともあった。これからは毎回それができる。今回は私たちのグループには都合の悪い人が多く,会員外の別の2人もさそっていっしょに見ることにする。

 今回は,私たちの所属しているグループも当番だということで,駐車場整理,会場整理,記念品渡し,出迎え,見送りなどを他のグループの人といっしょにしなければならない。私は仕事で都合が悪く,妻にしてもらう。妻は,前日飛行場まで出迎えだといって出て行った。後で聞くと,飛行機が強風のためなかなか鳥取空港に降りられなくて1時間ほども待たされたという。
 当日,早目に出発して会場駐車場に着いてみるとほぼ満員。近くで夕食をとって席に着く。今回私たちはもっとも後ろの席の番に当たっていて,「なんとか前に出るようにならないか」と妻はしきりに言うが,まあいいじゃないの。2階席まで大方いっぱいになっている。それでも前回の会員数にに達していないのだそうだ。そうか,もっと会員勧誘をしなくてはならないかもしれない。

 さて,今回の劇は「家路」(文学座 作 平石耕一 潤色・演出 藤原新平)。
 公務員の土田清太(加藤武)・高子(吉野佳子)夫妻と娘の昌子(佐古真弓)の3人家族は,火災にあって転がり込んだ豆腐屋で清太の母トキ(本山加久子)と清太の姉尚子(松下砂稚子)の家族と同居することになる。豆腐屋は家屋の再建もままならず,息子2人も家業を継ぐ意志はない。トキと尚子は働き者でお節介焼き。
 一方清太の家では,公務員の清太はまじめ一方だが昔の堤防工事の成果にこだわり,現在の環境問題に耳を貸そうとしない。妻の高子はおとなしく頼りない。そんな家族が同居するところから物語は始まる。

 阪神淡路大震災の復興に,ボランティアとして参加する尚子の次男覚(川辺邦弘),就職問題に悩む昌子,そして物語は高子の家出というような意外な方向に展開していく。
 現代のどこの家族もはらんでいる問題に主眼を置きながら,環境問題等の社会問題を絡ませたおもしろい演劇になっていた。
 舞台はすべて清太の家の中。四季の移り変わりを背景の映像で表し,時間の経過を表現しているのもおもしろい。

 今回,我が家とは全く違う家族関係とはいえ,なんとなく家族のあり方を考えさせられる演劇だった。うん,これはなかなか見る価値があるかな。