そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.395  防己尾城散策・11月自然観察会

 11月の自然観察会は,鳥取市福井の防己尾城跡散策だった。
「防己尾城」つづらおじょうと読む。ここでの合戦記は既に予習していたのだが,はて,どうして「防己城」なのだろうか。図書館で調べるがどうもわからない。家で『日本国語大事典』(小学館)で調べていると,「つづらふじ 葛藤 防己」に行き当たった。次のように出ている。
「ツヅラフジ ツヅラフジ科のつる性落葉木。本州の関東以西の山地に生える。茎は他物にからんで伸びる。葉は長柄を持ち円形,広卵形,多角形で掌状に浅裂するものもある。(中略) 和名由来 ツヅラはつるの意でカズラと同じである。外国名 漢 防己。 つるでかごなどを編む。」
 ここまでは何とか理解できた。しかし,なぜ「つづらお」なのかは分からなかった。

 今日の観察会に清末先生は簡単なテキストを準備しておられた。木の葉やどんぐりを見るだけで木の種類を見分けることができるというものだった。落ち葉を拾ったり,道の横の葉を示しながら説明される。「なんの葉ですか」との質問もある。
 クヌギとアベマキの葉はよく似ているが,アベマキの葉には毛がある。カシワとナラガシワもよく似ていて,柏餅にナラガシワの葉を使ってしまう人もある。ナラガシワには少し長い葉柄があることで区別ができる。カエデの仲間もよく似た葉のものが多いが,切れ込みの違いなどで区別できる,など。

 ヒトツバというシダが群生しているところがあった。
「葉の裏を見てください。」と言われる。
「少し幅が狭い葉は,裏に胞子嚢をびっしりと着けています。これを実葉,幅が広く大きい葉は胞子嚢を着けていない葉を裸葉と言います。」

 ヒカゲノカズラに出会った。
「天のうずめの命が,天の岩戸で踊ったとき腰に巻いていたのはこれだそうです。」
 なるほどずいぶん長い。ひも状の茎を次々と地面に延ばしていくのだそうだ。

 赤い粒々の実がなっているつる状の木が道の横に延びている。
「ビナンカズラです。漢字で書けば美男葛。枝の皮をはいでぬるぬるする液を水に浸出し,頭髪用に使ったのでこの名があります。」
 いい名前をもらったもんだなあ。またの名は「サネカズラ」。

   つれなきを思ひしのぶのさねかつらはては来るをも厭なりけり
                    藤原冬嗣・後撰和歌集