そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.404  葉痕には植物の顔がある

 1月の観察会は,天候を考慮して室内での観察である。NHK文化センターは鳥取駅から近いことと,ちょうど開始時刻に合う列車があるので,JRで行くことにした。ところが,時間になっているのに列車が来ない。どうしてなのか何の説明もないままに,10分ばかり遅れて到着した列車は,途中の駅でさらに反対列車を待って,結局20分近くも遅れて鳥取着。JRになって久しいが説明不足は続いているらしい。この冬初めての積雪のせいかもしれないが,年の初めから遅刻となってしまった。

 この日は葉痕の観察。秋になって散った葉の痕(葉柄のつけ根の痕)を葉痕という。葉痕の上から葉芽や花芽が出るので,芽の下に葉痕を観察することができる。
ここには水分や養分を送っていた導管や篩管の痕も見られるという。また,葉痕の形は木の種類によって決まっている。自分で準備した木の枝を観察する。私はウメ,ハナモモ,レンギョウ,サンシュユ,イチョウの5種類を準備していた。ただし,イチョウは9月の台風で折れたものの枝なので,あまり観察には適さなかった。

 ウメには三つの芽の下に少し白っぽい半円形のものが見られた。これがウメの葉痕である。レンギョウもはっきり半円形のものが認められたが,枝の下のほうにあるものと,先のほうにあるものでは多少形に違いがあった。
 サンシュユはV字形かY字形か判断に苦しむところ。ハナモモは小さくてわかりにくかった。
 先生の出された資料によるとそのほかにも,円形,心形,腎形,平円,線形,三日月形,U字形,楕円形,五角形,三角形,倒松形,T字形,馬蹄形,眉形などがあるそうだ。

 家に帰って翌日,もう少し調べてみた。といっても雪が降っていて,長時間の観察はできなかったので,最もわかりやすいイチジクを切り取って持ち帰って観察した。資料ではイチジクは平円形となっているが,これは円形に近い感じがする。
 冬,ようやく芽を出そうかと準備をしている植物も,よく見るといろいろな表情をしていることがわかる。

 葉痕の観察の後は,ビデオ視聴だった。NHKで少し前に放映していた正月を飾る花について,清末先生が解説しているものと,千代川原で春の野草を食べるものとの2本だった。また,春の野草を食べる会をしましょうというところでこの日の観察会は終わった。
 そのあと会場を変えての新年会は,観察会にこられなかった人も含めて全部で18人。わいわいと楽しい会になった。