そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.405  小鳥

 久しぶりに10センチばかり雪が積もった。この辺りでは別に珍しいことではないから誰も驚かないが、小鳥などは餌がなくなるから大変らしい。山のほうは特に困っているだろう。我が家の近くにも餌を求めてやってくることが多い。木にとまり、雪のない地面に降り、餌を求める様子だ。
 山茶花にとまって花びらを食べている小鳥もいる。自然観察の会では鳥に詳しい人があって(清末先生もその一人)鳴き声だけでもすぐにわかるらしいが、私はあまり詳しくないので図鑑を開いて調べてみる。

 図鑑といっても講談社の「一年生百科・とり」は、息子たちに30年も前に買ってやった古いもので、そんなに詳しいものではない。それでも、「すずめのなかま2」の中からモズ・ヒヨドリなどの仲間らしいとわかった。

 さて、どちらだろう。この写真ではよくわからないが、くちばしの形に特徴がある。モズはネズミやトカゲなどの小動物を主に食べるらしい。「モズのはやにえ」といってえさを枝に突き刺しておく習性があることはよく知られている。このような餌をとるために、くちばしは鷹や鷲のようにがっしりと鋭くなっている。
それに対してヒヨドリの餌は木の実などが主なものである。したがってくちばしは、モズのそれとは違って細く鋭い。
写真を拡大して見ながら、これはヒヨドリだな、と判断する。

それならばとっておきの餌をやろう。肉食だとトカゲもネズミもちょっと手に入りにくいがこれなら大丈夫だ。誰かの中国旅行土産のひまわりの種があった。「葵花子」と書いた袋に入っている。もちろん煎るか焼くか加工してあるようだが、別に問題はなかろう。空腹なら食べるに違いない。
そう考えて何か所かばらまいておく。少しでも近づいてくるようなら、写真も取れるだろう。

小鳥はやってきた。しかし、警戒心は解けないようだ。カメラを持って待っている私をすでに察知しているようで、近づいてこない。しばらく待ってみるがだめだ。
「何の危害も加えないのに。ちょっと写真を取らせてよ。」

 でも、餌がなくなっている所があることは確認できた。小鳥様、これから少しずつお近づきになればいいのですが。盆・正月だけでなく。