そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.410  冬物語

 1月の演劇鑑賞会は少しずれて、2月3日に県民文化会館梨花ホールで開催された。1月31日から降り始めた雪が、2月2日には浜村で40センチにもなって、雪かきに追われる頃になっていた。
 何とか家の近くは開けたが、道路事情は悪い。勤めで出ている市役所気高総合支所までの道も十分な除雪が行われていない。こんな中で鳥取まで行けるかいなと不安だったが、国道はきれいにあけられていて楽々会場に着いた。夕食をすませて開演を待つ。

 今回の演劇は「冬物語」(作/W・シェイクスピア 訳/小田島悠志 演出/平幹二郎)。平幹二郎と前田美波里の演技が見もの。ストーリーはパンフレットにまかせよう。

〜〜シチリア王リオンティーズは、王妃ハーマイオニと無二の親友ボヘミア王ポリクシニーズとの仲を疑い始める。もしかして彼の子を宿したのでは!?という疑念から嫉妬へと発展し、生まれたばかりの自らの子を荒野に捨てさせ、ハーマイオニをも死に至らしめることになる。「ハーマイオニは無実である」という神託の言葉で我に返ったリオンティーズはその後、自分の罪の重さに悔恨の日々を送る。そして16年後、奇跡的な結末が…。〜〜
(「演劇界隈」224号より)

 シチリア王リオンティーズ役は平幹二郎。プロフィールを見ると1933年生まれとある。舞台での演技や声からはとても70歳代の年齢は感じられない。また、「幹の会」(平幹二郎主催)を中心にシェイクスピア全作品の上演をライフワークとしており、現在10作目を数えるとか。この「冬物語」の演出も手がけている。開幕前の人形がいつの間にか登場人物に変わって踊りだすところなど実に面白い。たぶん何か起こるだろうと思いながら見ていて、その通りになっても感心してしまう。
客席からも「ほおっ」と感嘆の声が上がる。

 ところで、この物語はいつごろのものなのだろう。シェイクスピアに詳しくない私はふと考えてしまった。なんだか紀元前後のような、つい最近のことのようなそんな気がしたからだ。テーマがそうなのかもしれない。線香花火を取り入れたり、演歌まで取り入れた演出の効果なのかもしれない。
16年もたって死から蘇る王妃ハーマイオニ(前田美波里)の演技もなかなかのもの。ジプシーの女で踊る場面もよかった。

冬から春へ、物語はハッピーエンドになるわけだが、現実はどうかな。
外に出ると久々の大雪が道の両側に盛り上がっている。