そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.416  ヒヨドリ

 鵯の大きな口に鳴きにけり  星野立子
 No.405で「小鳥」を書き,我が家の近くに来る小鳥たちについて触れている。その中にヒヨドリがあった。
「ひよどり ヒヨドリ科の鳥。全長27センチメートル内外で,大きさはツグミぐらい。背面は灰褐色で,腹は淡く,胸は灰色で白斑がある。頭頂の羽毛は灰色で長く,やや羽冠状を呈する。耳羽は栗色。日本全土のほか台湾に分布する。多くは留鳥で4から7月山地で繁殖し,秋冬には市街地にも来る。ピィーヨピィーヨとやかましく鳴く。(小学館「日本国語大辞典」)」
 語源もこの鳴き声から来ているというのが有力だが,古名ヒエドリ(稗鳥)の転(大言海)という説もある。

 ヒヨドリといえば「ひよどりごえ(鵯越)」を思い起こす。源平合戦の一舞台である。なぜ鵯越というのか,少し調べたがわからなかった。NHKの大河ドラマ「義経」であるいは出てくるのかもしれない。
「ひよどりあわせ(鵯合)」というのもあったらしい。「ヒヨドリを持ち寄って,その鳴き声,羽色の優劣を競い合う競技。(引用同上)」平安時代の貴族の遊びだったようだ。
「ひよどりおどり(鵯踊)」も初めて聞く名前。「正月八日に,静岡県引佐郡引佐町川名の薬師堂で行われる。五穀豊穣を祈り祝う行事。(引用同上)」

「ひよどりじょうご(鵯上戸)」ヒヨドリジョウゴはナス科の植物。各地の山野に自生する。夏から秋にかけて小さな白い花をつけ,赤い実を結ぶ。この実をヒヨドリが好んで食べるところから名前がついたという。
「ひよどりばな(鵯花)」ヒヨドリバナはキク科の多年草。各地の山地の乾いたところに生える。高さ60〜150センチメートル。8〜10月ごろ白色の花が咲く。ヒヨドリの鳴くころに咲くところからの名だという。
 同じ「ヒヨドリ」の名を持つ山野草でもまったく違ったものなのだ。

 この間は金網の柵にとまったところをうまくカメラで捕らえた。2階から撮ったのだ。ヒヨドリは上のほうを警戒していなかった。
今日は雪。近くの山茶花の中の枝にとまって雪を避けている。かと思うとすぐそばのユズの木に移ってユズの実をつついている。あまりうまくなさそうな感じだが,この雪で餌がないのだろう。
時々私のほうを警戒しながら,しかし,ガラス越しなので,灯りを消した部屋の中は見えていないようだ。そっとシャッターを押す。この間から私は,小鳥の自然な姿をものにしようと彼(いや,彼女かな)わたり合っている。