そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.426  ドン(Dong)(ハノイ付近)春紀行7

 3月5日、ベトナム3日目。やはり朝5時(日本時間7時)ごろに目が覚めてしまった。しかし、夕べは早く就寝したので寝不足は解消した。
 日本出発前に円からドルに両替したのだが、当面の費用だけだったので残りが少なくなった。大きな店では円も使えるが、地方では使えないことが多いという。朝出発前にホテルで両替することにした。

ホテルのフロントで、
「チェンジ プリーズ。」と、言って1万円札を出すと、
「あ、両替ですか。」と、流暢な日本語の女性が対応してくれた。このホテルには日本人従業員がフロントに常駐している。ベトナム語がまったくわからない私たちにはずいぶんありがたいことだ。
「でも、ドルには替えられないんですよ。ベトナムのドンになります。」
「えっ、そんなことは聞いていなかった。1万円分もドンを使うことってあるのかなあ。」

 ドンはベトナムの通貨だが、日本円1円=131ドン(04年10月現在)なので、ものすごい数の紙幣を持つことになる。米ドルだと1ドル=100円あまり、イギリス・ポンドだと1ポンド=200円足らず、などと計算しやすいところで使ってくることができた。ドンの計算はあまりにも大きな数字なのでぴんとこないのである。慣れないお金をうまく使えるだろうか。もし使い切れなかったら、日本に持ち帰っても両替はできない。
「大丈夫ですよ。結構使うことがありますから。」と、女性従業員は明るく答えた。

 結局5千円だけドンにすることにした。それにしても65万ドン。紙幣ばかり(ベトナムでは硬貨はない)5万ドン、1万ドン、5千ドン、千ドンをずっしりともらう。ドルと円だけでやっていけばわかりやすいと思っていたのに何ということだ。ガイドのトンさんに話すと、
「ええ、今はホテルでは円をドルに替えることはできないのですよ。」
と、すげない返事。まあ、何とかしなければなるまい。
とりあえずドンを使う空港税分を確保。一人当たりUSドルで12ドル、18万ドン、これを別にしておいて、残りのドンをできるだけ使う。町の銀行を見つけてドルを手に入れることにしよう。

しかし、そうするまでもなかった。この紙幣の勘定さえ気をつけていて間違えなければ何の支障もないのだった。物価の安いこの国ではこれでしっかりやっていける。この日見学予定の民俗学博物館の入館料は10000ドン(80円足らず)。1000ドン(約8円)紙幣なんて紙切れみたいなものだという感じだけど、有料トイレではちゃんと通用するのだ。
金は必要に応じてある。