そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.428  街を歩く(ベトナム・ハノイ近郊)春紀行9

 民俗学博物館の後は、街で昼食にフォー(ベトナムのうどん)を食べて(これが安くてうまい・「ひみつのはらっぱ」参照)ホテルに帰って自由時間となる。
 ホテルではテレビを見るくらいしかないが、それでも衛星放送が見られるので日本のニュースも目にすることができる。
1時間ばかりのんびり過ごす。しかし、夕食には早いし少し街を歩いてみるか。近くに池(湖かも知れない)があったから、周りを歩いてみよう。少し広い通りを横切って池の周辺を散歩する。

 ベンチに座っている人。池で何かをとっているおじさん。何をとっているんだろう。蟹だよ。小さな蟹を捕まえてはナイロン袋に入れている。袋はもういっぱいだ。おじさんが私たちに近づいて笑いながら話しかけるがわからない。よく見ると水辺に蟹がちょろちょろしている。たぶん油で揚げるかして食べるのだろう。

 人口何百万人の都会の真ん中で、こんな風景が見られるのが不思議な感じだ。
初めて会った人が自然に話しかけてくる(私たちもベトナム人に見えるのかな。いや、それはなかろう)。もちろん言葉がわからないのでこちらは何もできないのだが、そんな人柄の国なのかもしれない。
水の浅いところにニョロニョロと長い魚を見つけた(写真)。蛇ではない。うなぎでもない。どじょうの仲間だろうか。池の周りにはそんなものしか見つけられなかった。

 ホテルに帰って地図を見ながら考える。「ホアンキエム湖」というのがあるはずだ。もっとにぎやかな通りがあったりして、ハノイの中心となっている所だ。さっき見たのはそれではない。行ってみよう。少し距離があるようだからタクシーで行くことにする。
ロビーに下りて、日本人従業員に尋ねると、タクシーも頼んでくれた。
「そんなに心配ないのですけれど、たまによくないタクシーがありますので気をつけてください。〇〇、□□と書いてあるタクシーなら安心です。」

 5分ほどでホアンキエム湖の畔に到着。なるほどにぎやかだ。タクシーもバイクも人もいっぱい。通りの向こうには商店街が見える。
相変わらずバイクだらけの通りを横切る。大群のバイクといっても一方向からしか来ないから、そちらに神経を集中させて、あわてず横断する。バイクもそんなに無茶をするわけではない。お互い進行の邪魔にならないように予測しながら通行すれば心配はない。ハノイ交通事情にも少し慣れたかな。