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ベトナム最後の日の午後はハノイ市内観光だった。 ホー・チ・ミン廟は、ホアンキエム湖から2キロばかりのところにあった。ベトナム建国の父をトンさんは「ホーおじさん」と呼ぶ。1954年から1969年まで、晩年をホー・チ・ミンはここで過ごした。ベトナム戦争は1975年サイゴン(現在のホーチミン市)陥落により終結することになる。ホー・チ・ミンは最終的な勝利を見ることなく亡くなったが、私の記憶にも「ホーチミン軍」として南ベトナム、アメリカからも恐れられた彼の名が、今もしっかりと残っている。 一柱寺は、一本の石柱によって支えられて池の上に建っているところからこの名がついたという。悲母観音の夢を見たことで子宝に恵まれたリータイトン王が感謝の気持ちをこめて1049年に建立したと伝えられる、ベトナムを代表する古刹である。 午後の観光最後は文廟である。孔子を祀る目的で1070年に創建された廟。境内にはベトナム最古の大学が開設され、官吏の養成所となった。3年に1度行われた科挙合格者の名前が刻まれた石碑がずらりと並んでいる。つまり、今年不合格だと次のチャンスは3年後という厳しいものだったのだ。私たちに説明しているトンさんにずっとついて回っていた女の子が話しかけてきた。 |