そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.436  鶯鳴く生山神社にて

 4月の観察会は、鳥取の生山(しょうざん)神社付近だという。生山には私の知人もいるが、行ったことはない。新興の町というのではないが、新しい大学ができたりして近くに住宅街もできた。大学までは行ったことがあるが、神社は知らない。とにかく津ノ井の集合場所まで行く。
 定刻になってまだ見えない人を待つ間、枝垂桜見物をする。これは新聞にも出ていたので、ちょっと興味を持っていた。気高町にもいい枝垂桜があるが、これはまた一回り大きく素晴らしい。個人の土地のもので、夜はライトアップしてサービスしているという。花見客も何組かあって賑やかい。

 参加者全員集まって神社の方へ移動。山の中ほどにある岩石の層を見ながら、
「1600万年前の地殻変動でできた礫岩層です。」と、清末先生の説明が始まった。地殻変動により、岩石が海中に沈み、その上を砂が覆う。それを繰り返して礫岩と砂岩の層がこの大きな層を作っているという。山の中腹まで登って、礫岩層を確認した。この層がずっと八頭郡の奥地まで続いているという。
 むき出しになった岩石が、祠を覆うように山肌から突き出している。

 さて、植物の観察。ツクシとスギナについて、
「地下茎でつながっています。スギナは栄養をとる働きをし、ツクシは繁殖の働きをするのです。」
 それはそうでしょうけど、いったん入ってくると退治することができなくて大変ですよ。我が家では毎年スギナとの戦いが熾烈なんです。
 ツクシが食べられるのはもちろん知っているが、スギナも食べられるという。「ナ」のつくものは食べられるのだそうだ。あまりうまくなさそうだが。
 鶯が鳴いている。初めは「ケキョ、ケキョ」と遠慮がちだったが、次第に「ホーホーホケキョケキョ」と余裕を持って鳴くようになった。

「10種類の植物を集めてきてください。」
 このあたりは造成地で大学や工場ができ、住宅が建ち並んでいる。20人近くの今日の参加者が集めてきた植物を先生が分類した。植物を調べることによって、ここに運ばれてきた土がどんなものか分かるという。
「一年生の植物が多いですね。造成して間がないということです。コウボウムギやハマダイコンがあることから、砂丘の土も入っていることがわかります。」
 なるほど、そんな考察もできるのだ。