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二つの美術展を鑑賞した。一つは島根県立美術館のギュスターヴ・モロー展、もう一つは米子天満屋で開催している谷内六郎展である。 実は二日ほど前にも一畑薬師を訪ねるバス旅行(生協関係の団体の花見)にも来ているので、連続の島根の旅である。そのときはものすごい風で、弁当が飛んで逃げないかと心配しながら食べた。今回は美術館のレストランで食べるから、天気については心配ない。ただし、このレストランはいつ行っても混んでいて、順番待ちをしなければならない。 フランスの画家ギュスターヴ・モロー(1826〜1898)は象徴主義の先駆者として知られている。今回の美術展では、神話や宗教的な主題を油彩、水彩、素描、計174点で構成してある。彼の作品は散逸することなく、邸宅とともに国に寄付され、ギュスターヴ・モロー美術館として開館した。つまり売り食いしなくてもよかったということ。 「忘れかけていた日本人の心の風景がここにあります。」のキャッチフレーズで谷内六郎展は開かれていた。 「日本の原風景」といえば確かに風景画なのだが、それは単なる風景画ではない。絵の中に彼の心が映っているのだ。年輪を見ればレコードから聞こえる音楽を連想し、雪をかぶったりんごを見ればサンタさんを思う。一枚一枚の絵から、彼の温かい心を感じる。表紙絵だけでなく、タイル画、TV挿入画、絵本挿入画、油彩画などなかなかいい作品がいっぱいだった。59歳の若さでなくなったことが惜しまれる。 |