そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.445  大型連休

 4月29日から5月8日まで、世間では大型連休である。いや、私の場合「月10日間程度の勤務」になっているので、連続して2週間ほど勤務すれば、残りの2週間くらいは連続して休めることになる。いつでも大型連休は可能である。とは言っても、仕事の具合を見ながらということになるので、今までそんな休み方はしていない。
 でもまあこの時期ひとなみに休んでみるか、と4月28日から5月5日まで連続の休みとした。
せっかくの休みなのだから、少しぐらいは遠出をするか。でも何の計画もない。まず、鳥取方面で美術鑑賞をしよう。県立博物館ではじまったばかりの「中島潔展」があった。「日本のこころ、故郷のこころ」がキャッチフレーズである。

 まず、第一展示室には、「日本のこころ」と題して、源氏物語五十四帖の連作。なぜか四帖と三十一帖がないけれど、五帖と十帖が2点ずつ入っているから54点の中島潔源氏物語絵巻(巻物ではないが)である。「源氏物語」はなるほど日本のこころなのかもしれない。「もののあわれ」はこの作品のベースになっているだろう。
 同じ部屋の続きに金子みすずの詩を題材にした作品が14点ある。金子みすずの詩に触れたときの感動も解説してあった。なるほどあらゆるものに心を寄せ、弱そうに見えて芯の強いみすずのこころも、日本のこころを表しているのかもしれない。
 第二展示室は「故郷のこころ〈童画〉」と題して春・夏・秋・冬それぞれの季節に子どもを登場させて故郷の原風景を描いたものだった(合計57点)。この間米子で見た「谷内六郎展」に似たテーマを題材にしているが、これはまた違った味わいがあった。

 鳥取駅近くの「たくみ」に移動。そこの割烹で昼食にする。ここは、ずっと昔食事をしたことがあるが、長いこと来たことがなかった。2階の小さな畳の部屋で、焼き魚と蜆の味噌汁の和定食を食べる。
 その後、隣の民芸美術館で「板画家 棟方志功―こころうたの世界―」を見る。棟方志功は板画家(志功は自ら版画を板画と呼んでいる)として独自の世界を築き、さまざまな名作を生み出した人として知られている。
 この展覧会では、師と仰いだ柳宗悦が詠んだ句「心偈(こころうた)」を「心偈板画柵(こころうたはんがさく)」として志功が彫り上げた作品である。たまたまテレビで宗悦の言葉を志功が彫っているところを写している番組が2・3日前にあったのを見ていたので、作品を見ながら志功の姿や気持ちまで分かるような気がしたのだった。