そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.447  大型連休3

「兵庫県の書写山に行ってみたいと思っていたんだけど。」
「じゃあ、あさっていこうか。」
 大体そんなことで決まってしまう。あとは地図を出してきて、大体の道順と距離を調べて出発時刻を決める。今回の小旅行の目的は、もう一つカーナビケーションのテストがあった。去年買ったのだが、操作の仕方を細かく覚えるのが面倒で、近場には使ったが、うまく操作ができなかったりで、ちょっと使わずにいたのだ。

 書写山って何。姫路市の郊外にある円教寺という寺のあるところらしい。近くに美術工芸館もできて、ちょっとした見所になっているとか。昼飯まで3時間見ておけば大丈夫だろう。そんな気持ちで出発。この連休天気はよし、予定通り中国自動車道から山崎インターを下りて、カーナビもきちんと教えてくれている、と思っていたら突然道案内をしなくなった。
「いったいどうしたの。」
 どうもこちらがコースを変えて勝手に走るものだから機嫌を損ねたのかもしれない。5分ばかり走ったが、どこを走っているのかも分からなくなってしまった。バックして、夢前川のほとりまで帰る。
「これを南にとればいいようだ。」
 カーナビも機嫌を直したようだ。

 カーナビよりも正しい勘で無事書写山の麓の美術工芸館に到着した。できてまだあまり経っていない美術館のようだ。入館料は300円と安い。入ると1階部分から2階にかけて階段状に約300体の泥仏が並んでいる。これは元東大寺管長 故清水公照氏が絵付けし、全国の著名な窯元で焼いたものなのだそうだ。
その後が今回のメーン春季特別展示「シルクロード工芸品」である。シルクロードに関わる国々から集めた、陶磁器、仏像、ガラス細工、更紗、金貨等々。二百数十点の展示である。国も中国、朝鮮、タイ、ベトナム、インド、ビルマ、チベット、カンボジア、ミャンマー、アフガニスタン、ペルシャ、ローマ、等。日本のものも。こんなに多岐にわたるとちょっと分からなくなってしまいそうだ。

美術工芸館を出て、近くの食事どころで昼食をとり、ロープウェイで書写山へ登る。書写山円教寺は康保3年(966)性空上人によって開かれた寺で「西の比叡山」とも称され、僧侶の修行の道場となっているという。
事前学習が不足していて、ロープウェイを下りてからの坂道の上り下りが多いことを知らなかった。ウォーキングにはいいかもしれない。今度そんなつもりで来ることにしよう。摩尼殿まで歩いてくたびれた。遅くなってもいけない。お参りして帰り道につく。

帰りはカーナビの目的地を自宅にして、でもちょっと新しい道が入力されていなくて、うろうろするところもあったが、順調に帰宅。思いつきにしては面白い小旅行だった。カーナビの扱いも分かったし。
ところで、なぜ「書写山」かな、と思ったから調べてみる。書写山には「曾左山」と括弧書きがしてある。その昔、スサノオノミコトはこの山で猟をしたという。スサノオノミコトの「スサ」が「ソサ」となって「曾左」があてられ、それが「ショシャ」となって「書写」の字があてられたというのだ。「本当?」なんて野暮なことは言わなくてもいい。ものの名前なんてそんなものだから。