アカシアの花 針槐(はりえんじゅ) にせアカシア
ふつうあかしあといわれているのは、ニセアカシアをさし、ハリエンジュともよぶ。北アメリカ原産の落葉高木で、枝に棘がある。初夏、芳香のある白い蝶形の花を穂状に垂れる。(平凡社「俳句歳時記」)
アカシア(ここではニセアカシアのことをアカシアということにする)の季節である。この気高町、特に浜村地区にはアカシアが多い。これは、明治、大正から昭和にかけて行われた砂丘地開墾の名残である。砂丘地を開墾した高田亀三郎、田中芳次郎、木下六蔵などが砂防植林にクロマツ、アカシアなどを植えたのである。
木下六蔵の植林したアカシアだけでも17600本と記録されている。もちろん砂に埋もれてしまったものもあろうし、枯れてしまったものも多かろう。しかし、現在も浜村海岸一帯にあるアカシアの林は、これら開拓者の戦いの証だといっても間違いない。そして、浜村から八幡、姉泊にかけての村々は、飛砂(北からの強風によって飛ばされ移動する砂)の害を受けることが少なくなった。
飛砂は大きな被害をもたらす。
強い北風が吹いた後の国道9号に砂が吹き上げられて、そこここに10センチ以上も溜まっているのを見ることがある。一晩でそうなる。国道9号の下をくぐって海岸に出る歩道のトンネルは、一冬で半分埋まってしまっている。現在でもそのような実態がある。
現在のような砂防林、砂防垣ができるまでには、畑が一冬でなくなってしまったり、小さな建物などが埋まってしまったりというような被害が実際にあった。
その砂と戦った人たちの象徴としてアカシアを見ることができる。
気高町は町の木としてアカシアを選んでいた(「いた」という書き方は変だが、自治体としての気高町がなくなったのでそういう書き方をする)。町のイメージソング「ときめきmy
town」にも「さつき アカシア 咲く道を ゆけば清水もわいてくる」とある。
♪私だけの心の町 アカシアも散った 恋の町札幌♪ (「恋の町札幌」)
♪アカシアの雨に打たれて このまま死んでしまいたい♪(「アカシアの雨が止むとき」)
なかなか情の深い花でもある。
今、アカシアが満開である。
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