そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.451  鶯見いつけた

 5月の自然観察会は鳥取砂丘の砂丘センター付近で行われた。砂丘センターは、リフト乗り場にあって、みやげ物店、ホテル、駐車場などの施設がある。砂丘入り口とは反対側になっているので、ちょっと砂丘を見てくる人はあまり立ち寄らない。しかし、連休のこの日は県外からの観光バスも多くにぎわっていた。

 観察はその東側の林の中である。
「この辺りには松がたくさんあったのだか、みんななくなって植物の様子もすっかり変わってしまいました。」と、清末先生は話す。満開のニセアカシアの花が小さな木にぶらぶらとぶら下がっている。
「この花をてんぷらにすると、甘さがあっておいしいんですよ。」しばしこれが話題になる。この花には蜜があって、蜂蜜の採集にも使われるくらいなのだ。

 まずマンテマの花の観察からはじまった。
「花弁の形は何に似ていますか。」5枚の花弁が放射状に開いている。
「そうです。これはナデシコの仲間なのです。」おしべ、めしべのつき方、茎や葉に生えた毛の向きなどもルーペで観察する。
「帰化植物でヨーロッパ原産です。花壇の縁取りに栽培されたのですが、だんだんもっときれいなものが使われだして、こうして野生化してしまったのです。」
 コバンソウもヨーロッパ原産の帰化植物。これは観賞用に栽培されていたらしい。種の観察をする。スイバの花びら、ウイング(翼)が種を囲んでいる。
 その他アカメガシワの星状毛、マツの新芽の方向について、アケビの5葉と3葉について、サクラの蜜腺について、マツの受粉について、ナツハゼの花についてなどたくさんの話を聞き、観察をすることができた。

「あ、これを聞いて。」「ジッジッジーッ」とせみの声。晩春になると鳴き始めるハルゼミで、松にすむのでマツゼミともいう。
 昆虫ではベニシジミも見つけた。春型と夏型は色が異なると、いう。さらに、オスに比べてメスは色が薄いことも観察できた。

「ホーホケキョ、キョケキョ」ウグイスだ。声を聞くことはよくあるが、姿を見ることはなかなかできない。声の聞こえる方向がわかりにくいのと、ウグイスは低いところにいて鳴くため、木の葉などに姿が隠されてしまうためだ。しかし、この日は高いところで鳴いているため、木の枝や葉に見え隠れするその小さな姿を見ることができた。小さなウグイスは、さえずっては枝をあちらこちらと飛び回っている。