そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.456  初夏の花々1


 あすから6月。我が家の花もいろいろ。ボタンが終わって今シャクヤクが咲き誇っている。
「立てばシャクヤク、座ればボタン、歩く姿はユリの花」
 ボタンが「花の王」とすれば、シャクヤクは「花の宰相」なのだそうだ。どちらも同じキンポウゲ科ボタン属の植物である。しかし、ボタンは木本、シャクヤクは宿根草で、英語でもシャクヤクをピオニー、ボタンをツリー・ピオニーと呼ぶのだそうだ。
 ボタンを植えたつもりでいたら、いつの間にかシャクヤクになってしまった、という話を聞くことがある。これは、ボタンの株を増やそうとするとき、シャクヤクにボタンを接木することが多く、株元からシャクヤクが芽を出してボタンが育たなくなってしまうためだという。まあ、王様が総理大臣に変わるっていうんだからどちらでもいいじゃない。
シャクヤクの花言葉、「恥じらい」。

 バイカウツギ。漢字では「梅花空木」、花がウメの花を連想させることからの名前らしい。ユキノシタ科バイカウツギ属の落葉低木。ヨーロッパのセイヨウバイカウツギが豪華な花をつけるのに比べて、日本産のバイカウツギはひっそりと白い花を咲かせ、茶花として人気がある。
 花言葉「気品、品格」。

 シラン。ラン科の多年草。漢字で「紫蘭」。花言葉は「互いに忘れないように」で、「知らん」では決してない。薬用植物として有名で、止血剤、腫瘍、打ち身、潰瘍などに聞くといわれ、薬草として重宝されていたようだ。
 一般には「紫蘭」と書くように紫のものが多いが、我が家には白いものも多い。確か10年以上も前に3・4種類取り寄せたものが増え残っているのである。

 二ゲラ。和名がクロタネソウだと聞けば、すぐ理解できよう。ラテン語の「黒い」からつけられた名前である。和名の通り種子が真っ黒で、いろいろなことに使われたようだ。そのいくつかを上げてみる。
 パンやお菓子を焼く前にこの種子をふりかける。それを食べると肉づきがよくなりチャーミングになる、と信じられていた。(エジプト)
カレーの材料として用いられている。(インド)
魔よけになると信じられていた。(ドイツ)
種子の粉末をコショウと同じように用いた。(フランス)

 花言葉は「当惑」。いや、当惑しているのはクロタネソウ自身かもしれない。