そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.468  梅雨の最中の観察会

 空梅雨状態が続いた後は,雨続き各地で被害も出ている。7月の自然観察会は,岩美町の鴨が磯を予定していたが,あいにくの悪天候で変更になった。午前中の雨はたいしたことはなかったが,気象台に連絡を取ったところ「海岸での活動はやめたほうがいい」ということだったらしい。室内での観察となった。
 清末先生が箱いっぱいの貝殻を準備されていて,その観察から始まった。

「アワビとトコブシは貝殻がたいへんよく似ていますが,どんな違いがあるでしょう。」
 2・3人にアワビとトコブシの貝殻一つずつを配られる。グループで検討する。
「色が違う」「中のつやが違う」「穴の数が違っている」「いや,それは年齢の違いではないか」等々さまざまな意見が出る。アワビは少なくとも名前はよく知っている,食べたこともあるから分かっているつもりなのだが,さて,その殻の特徴となると詳しく観察したことがない。トコブシについてはあまり知らない。

 どちらにも殻に飛び出たいぼいぼのものが並んでいる。この辺りに何かがありそうだが。
「アワビは生まれて1か月経つと,この噴火口状のものが一つできます。そして一年経つと22個できますが,だんだん穴は埋められていきます。4・5年経つと4〜6個になります。その状態になって大人のアワビということになります。トコブシの場合は,6〜9個です。見分ける一つのポイントになります。また,アワビの噴火口のほうが盛り上がっている感じですし,トコブシのほうは平低な感じです。トコブシはあまり大きくなりませんし,肉が柔らかい。でも,見た感じは似ていますから,料理屋ではアワビのような顔をしてトコブシが出てくるかもしれません。」
 穴は,呼吸,放精,産卵に使われているという。

 棘皮動物のスカシカシパン(左)とウニ(右)の殻から,同じ仲間であることを見つけよ,という問題も出される。これもルーペで見たり,表を見たり裏を見たり,ああでもない,こうでもない。
 タカラガイの標本をたくさん準備しておられた。クチムラサキダカラ,ヤマネコダカラ,ハナマルユキダカラ,ホンキヌタ,ホソヤクシマダカラ,ハナビラダカラ,ニシバタダカラ,タルダカラ,ヤクシマダカラ,キイロダカラ…………。
「キイロダカラは東南アジアや中国ではお金(貝貨)として使われていました。大正時代の記録ですが,ボルネオではこの貝殻20個で,お嫁さんがもらえたということです。」
 まさに宝貝というところか。

 あとはビデオ視聴。海に暮らす動物たちの生態をたっぷりと楽しんだ。