そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.474  鷲ヶ峰観察登山(自然観察夏の旅4)

 隠岐は小さな島だけれど,この島後には大満寺山(608m),横尾山(573m),鷲ヶ峰(560m),葛尾山(598m)などの山が連なっているという。当初私たちの計画では,隠岐の最高峰大満寺山と鷲ヶ峰の縦走を考えていたのだが,八幡さんとの話し合いの結果鷲ヶ峰だけでいいのじゃないかということになった。時間的に見ても,能力的に見ても(つまりわれわれが年寄り集団で,縦走は難しいのではないかということ),生物観察という目的から考えても鷲ヶ峰だけで十分だろうということだった。

 ほとんど予備知識なしに鷲ヶ峰に向かう。と言ってもバスで500mくらいまで登ってしまうのだから,「なんだ,ずいぶん軽い登山じゃないの」と思っていた(登山靴は先だって買ったものをちゃんと準備していましたよ)。それでもロープを渡している岩場がありかなりの登山路である。樹木や野草の説明を聞きながら,ようやく頂上近くの眺めのよいところに到着。
「ここはマムシがよく出る所です。気をつけてください」。八幡さんの説明に「ギョッ」。そう言えば『鷲ヶ峰ガイドブック』の最初に「危険な動物に注意」が書いてあって,「マムシ」も上げられている。後続の人に伝える。

 さらにしばらく歩いて,「ここが鷲ヶ峰の最高地点です」というところに出た。猛烈に暑い。でも,「あとは下りじゃないか」という安堵感もあった。
 ところが違っていた。岩場を登り下りしながらの登山道が待っていたのである。ロープにつかまりながらの登り下りを続けた後,高い岩場まで登るという。ロープを伝って展望地点までようやく登って出た。その向こうに屏風岩を見る。
「やった。」
 鳥取県で言えば,船上山の「船上のぞき」と似ているが,そこに至るコースは船上山以上に起伏があり,なかなかのものである。

 下りの途中に見た杉の天然林には驚いた。300年は経っているという800本以上の大杉が正に林立している。国立公園ということもあって,現在は保護されているのだろうが,ここまで守られ成長してきた生命力のすばらしさと,人々の自然に対する愛情を感じる。植物の観察を続けながら下山。八幡さんは鉱物,植物,動物ともに詳しい。
 バスの待つ休憩所まで下りてほっと一息。遅い弁当を使う。これは旅館が作ってくれたおにぎり弁当。なぜか箸がついてなかったが,なかなかおいしい。

 帰りの途中海浜観察。夏の暑さになっているから,海水浴をしている人たちもある。そういえば今日は日曜日か。夏休みも目前だし。でも,今日の活動はかなりくたびれた。もう一つ夜の観察もあるのだけれど。  (続く)