そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.477  ゴーヤ

今年3本だけ植えたゴーヤが最盛期を迎えた。毎日2・3個の収穫がある。二人だけではとても食べきれない。
ゴーヤ。最近はとても人気のある野菜なので,『広辞苑』にどう出ているか調べてみる。ところが,ない。「なぜ?」と思い,「にがうり」を探すと出ていた。「つるれいし」のことだという。つまり,正式な名前は「ツルレイシ」で,「ニガウリ」は俗名ということ。どうして「ゴーヤ」がないのかと,図書館でほかの辞典で調べたが,「ゴーヤ」はなかった。ただ一つ学習辞典の「つるれいし」の項の終わりに「ゴーヤー(とも言う,の意か)」とだけ出ていた。

仕方なく,沖縄の旅行関係図書を調べる。語源か何か出ているかもしれないと思ったからだ。しかし,「ゴーヤ・チャンプルー」「ゴーヤ・サラダ」などの料理は出ているが「ゴーヤ」そのものについては見当たらない。
次には野菜作りの本を探す。ここにはニガウリの作り方についてかなり詳しく出てくる。さらに,子ども向けの野菜作りの本(最近はこの手の本が非常に多い。総合的な学習がカリキュラムの中に入ってずいぶん増えた)を見る。どうもここに書かれているゴーヤに関する記述が最も詳しいようだ。

 広辞苑などの「権威ある辞典」は,一地方の呼び名などにはなかなかなびかないらしい。学術名が第一であり,歴史的にいわれのある呼び名,おおかたの土地でよばれている名前でないと認められないようだ。沖縄は日本の最も南に位置する一地方であり,戦後も長くアメリカの統治下におかれていた。

 さらに,ゴーヤはかなり強い苦味を持つ野菜であり,一般的に「おいしい」と思われることが少なかった。このようなことから,「ゴーヤ」はなかなか市民権を持つことができず,「つるれいし」「にがうり」の名前に甘んじていたものと思われる。
 最近,食の最も大切な面として「健康」が取り上げられるようになって,沖縄食文化の代表の一つ「ゴーヤ」が市民権を得たのであろう。

 ネットにつかまらせるだけで過ごしていた我が家のゴーヤは,さらに棚を作ってぶらさがらせることにした。いくつものゴーヤが気持ちよさそうにぶら下がって収穫を待つ。ちょっと支柱が弱いので,台風が心配だ。補強をしてやろう。
 今日もちょっと苦いジュースで暑さをしのぐか。