そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.480  夏の花々

 立秋を過ぎて,夏から秋の花が出揃った感じだ。我が家のものでいえば,アジサイ,ネジバナ,ラベンダー,ニワゼキショウ,ブッドレア,ギボウシ,スイレン,トケイソウ,アガパンサスはもう終わった。

 ノウゼンカズラはあまり大きくないが2本ある。ギリシアにはこの花に関する次のような話があるという。
〜〜大きなマツの木が,隣で咲いているノウゼンカズラを愛しく思い,一緒に暮らそうと誘ったところ,ノウゼンカズラも同じ思いだったので,即座に応じました。ところがマツはノウゼンカズラを一筋に思っているのに,ノウゼンカズラのほうは,時々スギやヒノキに寄り添っていき,マツを悲しませたという話です。〜〜(西良祐著「花を贈る事典」より)

 盆が近づいて,ジニアがよく咲いている。江戸時代の終わりごろにアメリカからやってきた花だそうだ。長い間咲き続け,切り花にしても日持ちがよいところから和名はヒャクニチソウ(百日草)という。夏の仏花としてどの家の庭にも見られるくらいに普及している。乾燥に非常に強いので,カリフォルニアなどの乾燥地でよく作られるという。

 キキョウもよく咲いている。万葉集のアサガオがこの花のことだったのではないかということは先日書いた。秋の七草のあとの六草はハギ,オバナ,クズ,ナデシコ,オミナエシ,フジバカマであるが,クズを除く五つは我が家にもある。ナデシコはもう終わるところ,ハギはようやく咲きかけたところ,オミナエシは見ごろ,オバナ(ススキ)はまだ咲かない。フジバカマの確認をしていない。最近非常に少なくなっている種なので,あるいは消えてしまったのかちょっと心配なところ。

 エンゼルス・トランペットを,今年は4か所に植えた。白・ピンク・黄色と3種類あったはずなのだが,なぜか黄色が咲かない。たくさん花をつけたが今は一段落,ちょっと涼しくなりかけたらまた咲くだろう。
 ヨウシュヤマゴボウが黒紫色の実をたらしている。英語ではインク・ベリーと呼ぶそうだ。この果実の汁からインクが作られることによるとか。

 ひときわ元気に咲き出したのはヒマワリ。向日葵という字があてられているが,「太陽に向かって咲く」のではない。観察してみるとすぐ分かる。英語ではサンフラワー(太陽の花)というが,これは花の色やかたちからつけたものだ(清末忠人著「ヒマワリの花はまわるの」参照)。しかし,照りつける日差しの中,すっくと伸びて花を開いている姿は見事なものだ。