とんぼのめがねは まんまるで くるりくるりと よくみえる
うしろのしょうめん だあれ ? うしろのしょうめん かぜがふく
とんぼのとまる えだのさき ちらちら ひだまり まぶしいね
うしろのしょうめん だあれ ? うしろのしょうめん かぜがふく
とんぼはたかく そらをとび だれとあそぼと めをくるり
うしろのしょうめん だあれ ? うしろのしょうめん かぜがふく
(「うしろのしょうめん」 工藤直子『のはらうたV』より)
古くから詩歌文章に登場し,親しまれている昆虫である。たぶんこの詩にも書かれているように,大きな目玉,細い体,透明だったり,模様がついていたり,黒かったりする4枚の大きな羽など,特徴ある体が親しみを感じさせるのだろう。
とんぼのめがねはみずいろめがね あおいおそらをとんだから とんだから
とんぼのめがねはぴかぴかめがね おてんとさまをみてたから みてたから
とんぼのめがねはあかいろめがね ゆうやけぐもをとんだから とんだから
(「とんぼのめがね」額賀誠志作詞・平井康三郎作曲)
ゆうやけこやけのあかとんぼ おわれてみたのはいつのひか
(「赤とんぼ」三木露風作詞)
こんな風景は多くの日本人が経験していて,「原風景」の一つになっているのだろう。先日も隠岐の島の自然観察会で,夕方多くのトンボが飛び交っているのを見かけた。
「餌を摂っているのです。」
と,清末先生が話される。
「こんなに多く飛び交っていて,ぶつかったりすることはないんですか。」
「それはありません。」
これほど込み合っていなくても人間の操縦する飛行機は墜落するのに,この小動物はどんな能力を持っているのだろうか。
しかし,食については貪欲なまでのところを見せる。道路わきの藪にキイトトンボがとまっているのを見かけた。
「あっ,餌を食べています。」
肉食であるこの小動物は,小さな昆虫を捕らえ飲み込もうとしている真っ最中であった (写真) 。華奢に見えるイトトンボの一面である。こんな力があるからこそ,太古から今まで,滅びることなく永らえているのだろう。
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