そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.489  夏から秋へ(畑編)

 厳しい残暑が続いた。9月に入っても連日30度を越える毎日。36度近い日もあった。とにかく今年の気候は極端で(農業をしている人は「今年の天気はかたよっとりますけえなあ」と言う),猛烈な暑さが続くかと思うと,次にはものすごい雨が続く。そんな夏だった。

畑の作り物は,前半はあまりよくなかった。キュウリにはカボチャの花が咲くし,トマトは半分腐ったような実がなるし,ナスは実がつかないし,オクラもなかなか実らなかった。
ところが暑さが戻ってくると途端によくできだした。ゴーヤは毎日の収穫で,苦いジュースの連続だったし,キュウリもトマトもナスもオクラもモロヘイヤもよくできた。
農家の人が,
「なんちゅうええ作りをしとられるですだいな。」
と言うぐらいの出来だった。

 しかし,8月も終わりを告げると夏野菜も終わりとなった。ゴーヤはそれでもまだまだ勢いがあるが,後のものは次第に始末をする。夏のあいだ休ませておいた畑を耕して,石灰をふって何日かおき,肥料を入れて畝を立てる。秋野菜の準備だ。
 ちょうどいい具合に台風14号がやってきていた。乾いて種まきのできなかった畑に雨が降る。

 ダイコンは土のやわらかいところに蒔く。我が家の畑はもともとが沼地のようなところで,埋め立てをして宅地になっていた。家も建っていて,それを壊したときの基礎コンクリーなどが残っている。畑にしようとかなり取り除いたのだが,全部は取りきれていない。
 砂を入れて表面はきれいだが,ダイコンなどの根を取り入れる作物にはあまりよいところとはいえない。
 シュンギクやにんじんも蒔く。ブロッコリーは苗を買ってきた。キャベツも考えたが,毎年青虫にやられてしまうので,今年はやめることにした。まあ,趣味程度の畑の作りだから,できればできただけの野菜を味わうのを楽しみにしている。

 台風14号はまだ南を進んでいるようだが,どうも明後日あたり鳥取県にもかなり接近しそうな気配だ。風雨共に激しいようで心配である。種蒔き・苗植えにはとてもいい雨だったが,これ以上はいらないのだが。
これも人間の勝手というものか。
(写真は雨にけぶる我が家の畑の一部。もう水がたまり始めている。)