そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.496  次男の結婚

 次男が結婚するという。そこそこの年齢に達しているからそれは普通のことといえよう。ただ,東京に住んでいて,そこで挙式などを行うというので,こちらとしては結構くたびれることになる。長男の時にはしなかった結納も6月に行った。飛行機で一時間あまりで行ける東京だが,慣れない都会を歩くのもなかなかのことだ。
 まあそれでも話はどんどん進んで,式を迎えることになった。結納は一泊だけで帰ってきたが,今度はそういうわけにも行かないようだ。一日目は次男の新居に泊まらせてもらうことにして,二日目はホテルを取る。三日目は少し観光でもして帰ろうか。
 東京といっても次男の新居は八王子である。羽田から2時間あまりで目的地についた。もちろん案内がなければ分からないから迎えに来てもらう。それからいろいろあるが,結婚式当日にひとっ飛びしよう。

 式場は青梅線に乗って奥多摩の入口,日向和田(ひなたわだ)という駅近くの教会である。緑と多摩峡谷がすぐそばにあるという,東京都とはいっても山間の地である。よくもまあこんなところを探したものだ。このごろは情報がいろいろなところから飛び交っていて,式場といっても日本国中どこでもどこからでも分かる仕組みになっている。結婚情報誌から選び出したらしい。長男の時の明治神宮にも驚いたが,今度も驚かされた。

 式はセントフローリア教会で行われた。カメラでの撮影が許されていないため,その映像をここに出すことができない。新婦をお父さんが導いて入場。賛美歌が始まる。
 〜〜いつくしみ深き 友なるイエスは 罪とが憂いを とり去りたもう〜〜
 神父さんの声は実にいい。私はクリスチャンではないが,ポピュラーなこの歌にはつい引きこまれて歌ってしまう。よく聞く話のような気もするが,神父さんの話もいい。うっとりと聞いてしまう。
しかし,9月も彼岸近いので,そろそろ涼しくなるかなと期待していたが,30度を越す猛烈な暑さには参った。私はモーニング姿だったのである。
 このモーニングを買ったのは,私が校長として入学式の壇上に立った年だったから,10年以上も前のことだ。以来入学式・卒業式をそれぞれ7回と長男の結婚式に着てきた。今度が16回目の着用だった。おそらくこれが最後だろうからどうでも着ようと思っていた。しかし,暑い。

 式は祈祷,聖書朗読,メッセージ,誓約,指輪の交換,宣言と進み,讃美歌,祝福の祈りと進んで30分ばかりで終わる。
 その後外に出る。教会の外の階段を二人が下りてくる。ここからはカメラもOK。暑いが天気がよいということはいいことだ。青い空と地上には多摩の緑が広がる。そんな中を二人が下りてくる。それだけでなかなかの演出だ。ケーキカットも家族写真もすべて野外でオープンに。披露宴は室内で行った。両家族だけで行うので,実にリラックスした雰囲気だった。外の多摩の緑を眺めながら,他人に気を使うこともなく話し合うことができた。
 やっぱりこれからは当事者で話し合って,一番いいと思うやり方を考えることでしょうねえ。わがことながらめでたい,めでたい。