そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.499  国勢調査
 国勢調査の調査用紙が配られてきた。5年ごとに行われているもので,10月1日現在の人口,世帯の実態を調べるものだという。一般にはセンサスcensusの訳語だというが,日本では人口センサスのことを特に国勢調査という。したがって他にも農業センサスとか商業センサスなどもある。日本で国勢調査が行われたのは大正9年(1920)が第1回である。しかし,実際にはそれまでにも戸数,男女別人口などは調査されていたようだ。ここには明治11年のもの(戸数及び人口は明治11年1月1日現在の島根県〈当時鳥取県は島根県に併合〉因幡国第8大区戸籍調査『至要録』)を上げるが,もっともっと古い記録もあろう。
村の戸数と人口
 明治6年(1873)12月鳥取県を17大区に分け,112の小区を区分し大区長を置いた。気多郡は現在の気高・鹿野・青谷町が第8大区となっており,その中に7つの小区が置かれた。小1区(第44小区)から小4区(第47小区)までに現在の気高町と鹿野町が含まれ,小5区から小7区までに青谷町が含まれている。小1区から4区までの戸数・人口の内訳は次のとおりである(村ごとの数もわかるが,スペースがない)。
第44小区 閉野村 広木村 塚手村 西分村 馬場村 戸嶋村 下光元村 常松村 富吉村   母木宿 新町村 酒津村 奥沢見村 戸数727戸(内寺1)人口3358人(男1757,女1601)
第45小区 末用村 水谷村 東志加奴村 西志加奴村 宿村 土居村 重高村 二本木村 下 坂本村 日光村 戸数985戸(内寺10)人口4190人(男2172,女2018)
第46小区 浜村 宮川村 湯村 沢田村 福田村 重山村 梶掛村 岡井村 木梨村 中園村  宮方村 寺内村 今市村 玉川村 鷲峰村 河内村 戸数665戸(内寺4)人口2904人男1518, 女1386)
第47小区 小別所村 殿村 飯里村 下石村 上原村 山宮村 橋詰村 新宮村 郡家村 高  江村 会下村 下原村 8幡村 姉泊村 姫路村  戸数749戸(内寺1)人口3241人(男1674, 女1567)
 この区分でわかるとおり,1小区の区域は集落数で見るとかなり広域にわたっていた。その基準は戸籍法によって示されたもので,4,5町もしくは7,8村を組み合わせることで区画編成した。
気多郡の年齢構成・職業従事者
 前述『至要録』には当時の気多郡(気高・鹿野・青谷地区)の年齢構成が大まかに記録されている(男性のほうが細かい年齢区分で調査してあるが,ここでは女性の区分に合わせてまとめてみた)。
 人員合計 21761人 男11240人  女10521人
  15歳未満 男3263人 女2900人  15〜40  男4669人 女4139人
  40〜80  男3257人 女3376人  80歳以上 男 51人  女 106人
 明治の昔から女性のほうが長生きなのである。
 同じ調査で職業別の人口も見よう。
 官員 男2人 神官 男12人 兵隊 39人 従者 女1人  僧 31人  尼 1人  医術 男38  人  農 男5336人 女5128人 工 男98人  商 男823人 女787人 雑 男1498人 女    1502人 合計 15298人 男 7878人 女 7420人
 全人口の70パーセントが何らかの仕事についていたことになる。さらにそのうちの70パーセント近くは農業に従事していたことがわかる。