そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.509  これなあに

 これはなんでしょう。何かの頭のような,怪獣の顔のような変なもの。我が家の庭にこんなものを見つけた。害虫が止まっているのだろうかと,つついてみるがくっついていて動かない。しばらく観察して,どうもこれは植物の実らしいという結論になった。

 我が家のハクモクレンに,こんなものがいくつかくっついているのである。このハクモクレンは私の退職記念にそのときの同僚職員から送っていただいたものである。植えて2・3年はあまり花がつかなかったが,今年の春はよく咲いた。ようやく木が土地になじんだのであろうか。

 はくれんや風の行方の闇透きて   星野麦丘人

 季語は春なので,秋のこの季節の句はないが,モクレンの別種のハクモクレン(ハクレン,ビャクレンともいう)は白く気品のある花をつけるのでよく庭に植えられ親しまれている。
 私の持っている本には,ハクモクレンの果実について記述したものがないので,モクレンのものを書き留めておく。

「果実は卵状長楕円形で,かっ色をおび,赤い種子が白い糸でたれ下がる(平凡社『世界大百科事典』)。」

 ちょっとちがうような感じもするが,色は大体似ている感じだし,口を開けているように見える先の部分は固い殻になっていて,中には赤い豆粒のような種らしきものが入っていた。鱗のように見える部分が何なのかは不明である。

 ハクモクレンは初めての経験だから珍しいことが起こってもしょうがないが,いつも目にしていることの中にも不思議はたくさんある。今までなんとも感じていなかったことに少し焦点を当てて調べてみることにしよう。