そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.512  トルコ・エジプトの旅2

出発 2
 スーパーはくと,関空快速を乗り継いで11時ごろ関空到着。あらかじめ送っておいた荷物を受け取って受け付け場所に行くと,もうかなりの人が手続きを済ませているようだった。聞いてみると35人の団体だという。ヨーロッパ旅行,インドネシア旅行もかなりの人数だったと思うが,35人とは多い。
 チェックインを済ませて,旅行中退屈しないようにと文庫本を1冊買う。これくらいならホテルのごみ入れに捨てて帰ってもよかろう。
「多めにドルを持ってください」との説明だったが,どれだけ持てばいいのだろう。準備したお金のあり場所(ポケットとか財布とか)と,金額はどれだけだったかを忘れてしまってうろうろする。飛行機はエジプト航空,この飛行機はアルコール類は一切出ない。カイロのホテルでも酒類があるかないか分からないので,免税店で日本酒を買っておく。
 13時25分搭乗開始。搭乗口にみんな集まっているが添乗員の前川さんが来ない。
「いいじゃないの乗ってしまえば。」
 旅慣れた人も多いらしく,とっとと次のことにかかる。前川さんは時間ぎりぎりに機内に現れた。「いいじゃないの,間に合ったんだから」
 離陸して,昼食が配られ始めた。客室乗務員が尋ねて来る。
「フィッシュ オア ビーフ?」
「フィッシュ。」妻も私もそう答える。ところが,配られた中味はビーフ。聞き違えたのかなあ。もっとも夕食では,「ビーフ オア フィッシュ?」,私は「ビーフ」,妻は「フィッシュ」。乗務員は「ハッハッハ」と笑って配る。でも,どちらもビーフ。
ビーフしかないんじゃないの。笑ってごまかしたな。

 飛行機は太陽を追っかけるように西に進んでいる。眼下に,白く波のようなものが見える。ここはどこなんだ。機内に映し出される飛行機の位置を表す地図によれば,ゴビ砂漠の辺りではないか。そうかこれは砂漠だ。波の様に見えるのは砂のうねりであり,風に吹かれてとがる砂の波の先端なのだ。そしてそのずっと南の向こうに高い山並みが見えた。それは今飛行機が飛んでいる高さにまで達しているかと思われるほどに高かった。
「チベットの山々だ。ヒマラヤ山脈かもしれない。」

 大きな町の灯りが見えてきた。カイロだ。そろそろ寒くなった日本で長袖の上着を着込んできたが,それほどの暑さは感じない。夜だからかもしれない。ホテルに向かうバスには,ガイドのモハメド・アリさん,運転手さんのほかにセキュリティ(警備の警官)も乗り込んでくる。私たちのためにこんなチームを作っている。   〜 続く 〜