そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.52 虫たち

 庭や畑をつついていると,いろいろな虫たちに出会う。中には作物に役立つものもあるが,多くは害をするものたちである。梅にはアブラムシ(この辺ではアマコという)が若い芽にびっしりとつくし,葡萄にはコガネムシがやってくる。今年はカメムシも多い。

 花や作物をそれらにやられてしまっては毎日の苦労がなんにもならないから,見つけ次第やっつけることになる。アブラムシやカメムシ,毛虫などは薬剤散布,コガネムシは捕殺する。
「俳句歳時記」(平凡社)に次の句があった。 
  白昼や地獄のごとく毛虫焼く 小林康治
 残酷に思えるがやむを得ない。私たちだって一生懸命なのだ。多分彼等も一生懸命だ。だからいい加減に当たるとひどい目にあう。

 2・3年前のことだった。庭木の剪定をしていて毛虫にやられた。暑い日だったので半袖姿で向かったのがいけなかった。少しくしゃくしゃすると思ったのはその日の夕方,明くる日には体中ひどい発疹だった。その後1週間くらいは痒さとの戦いであった。
「完全武装してかからなきゃ駄目よ。」いつも妻が言う。
 それ以来,草取りも剪定も長袖を着込んで,軍手に帽子ゴム長靴といういでたちで作業を行うことにした。

 今年は怪我のためにあまり仕事ができない。それでもちょっとした動きができるようになったので,延びて気になるハナモモとサンシュユの枝を切ることにした。
「たった2・3本だから。」ここにまたまた油断があった。彼等もたくさんいればわかるのだが,そんなときは目立たないようにひっそりとしているらしい。しかも1匹でもこちらの被害は大きい。
 そういうわけでまたまた痒い日々である。それでも前回よりはずっと軽くすんだのがせめてもの救いだった。

 ところで,虫たちといっても害をするものばかりではない。例えば蚯蚓は,姿形から嫌われることが多く,妻は見るのもいやがっているが,実際には糞をすることによって土に養分を与えている。我が家の畑にも蚯蚓が増えてきた。いいことだ。
 野菜も次第に収穫のときを迎えつつある。
                       (2002.6.22)