そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.523  トルコ・エジプトの旅13

イスタンブール・雨
 列車のゆれ,停車駅などでしばしば目が覚めてあとはうとうと。朝4時ごろには目が覚めてしまった。車窓(南側)に水面が見えてきた。かなり大きな船も見える。地図で調べてみるとマルマラ海らしい。カイロからイスタンブールに到着したとき見聞きしていた「トルコの海」マルマラ海。イスタンブールまでずっとつながっている海だが,霧で景色はあまり見えない。少し明るくなって道路もぬれている様子。雨が降っているようだ。
 寝台特急はほぼ定時に到着した。今晩には空路カイロに行くので,イスタンブール一日観光である。
 駅を出てバスに乗るころには止んでいた雨が,また降り出した。庄野真代の「飛んでイスタンブール」,江利ちえみの「シシカバブー」がバスの中に流れ出す頃になると本格的な降りになっていた。イスタンブール駅のあるアジア側からトプカプ宮殿などのある旧市街(ヨーロッパ側)へは,金角湾にかかる二つの橋のどちらかを利用するかフェリーを使うしかない。この橋が月曜日の通勤時間帯,しかも雨のために大渋滞となっていたのだった。
 予定より大幅に遅れて旧市街到着。カイロ行きが夕方の便と決まっているので朝食時間も短縮して雨の中を観光に向かう。

 ブルーモスクは6本の尖塔を持つイスラム寺院。正式名称は「スルタン・アメフット・ジャミイ」だそうだが,内部装備に使われているブルーのタイルが美しく,ヨーロッパの人々から「ブルーモスク」と呼ばれるようになったという。アヤソフィアも雨の中遠望しただけ。直径30m,高さ54mの巨大ドームが中央にそびえ立つビザンチン建築の大聖堂という。
 トプカプ宮殿が本日のメイン。15世紀ごろに完成し,19世紀半ばまで歴代スルタンの居城であった。「大砲の門」を意味するこの宮殿は,幅180m,奥行き280m。敷地内は4つの庭園エリアに分かれ,それを取り囲む建物がオスマン時代の遺物の博物館になっている。中でも「スルタンの台所」は陶磁器展示室になっていて,当時世界各国から送られた陶磁器が陳列されていた。日本のものも伊万里焼が何点かあったが,中には中国の絵柄と思われるものもあった。あれは何だろう。雨でいやになって私たちは行かなかったが,宝物館には80カラットのダイヤモンドなども並ぶという。
 とにかくひどい雨になった。建物から次の建物に移動するのも大変なくらいだ。観光も適当に切り上げて,宮殿内のレストランに駆け込む。宮殿内では自由行動なので,早くから集まっている人,ゆっくりと見てまわっている人とさまざまで,なかなかそろわなかったが,場所は予約してあったので全体的には早く昼食を終えることができた。昼食はトルコ料理「ケバブ料理」,焼肉である。

 宮殿をあとにすると,皮肉にも雨足が弱まって,空港へは余裕を持って到着することができた。搭乗手続き後トルコに別れを告げる。
 あれっ,シナンさんに「さようなら」を言おうと思っていたのに忘れていた。少しあと返りしてみたが,もう見当たらず。そこからバックはできなかった。「ありがとうございました」と心の中で言う。
カイロ着は夜8時ごろ。ホテルは最初に泊まった「ソネスタ・カイロ」。11月4日まで4連泊となる。