そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.528  トルコ・エジプト悠久の旅17

警備
 ラマダンが終わるので,できるだけ午前中に(少々午後にかかっても)見学を終えたいという。ラマダンが終わると,人々は町に出て開放的になり,祭りの準備を始める。町の様子が変わって観光がしにくくなることがあるらしい。
 クフ王のピラミッド,カフラー王のピラミッド,メンカウラー王のピラミッド,スフィンクス,赤のピラミッド,屈折ピラミッド,ラムセス2世の巨像などたて続けに見て何がなんだか訳がわからなくなってしまった。
 スフィンクスは,全長57m,高さ20m。頭はカフラー王に似せて造られたといわれ,カフラー王の守護神という説もあるというが,事実はわからない。不思議な存在だ。
 時代によってピラミッド建造の方法も変わり,技術も進歩しているらしい。世界中にさまざまな墳墓形式があるが,最も古く,最も謎の多いのがピラミッドなどのエジプトのものではなかろうか。

 とにかく警備が多い。さまざまな種類の警備があるらしい。
遺跡を警護する人。すべての遺跡の周囲に何人・何十人の警備の人が付いている。ピラミッドやスフィンクスなど,一つでも相当の人数が必要となる。銃を持ち,ラクダに乗り,一日中警護している。
「エジプトにとって重要な観光資源なのです。これを失うことは国にとって存亡の危機となるのですから,こんな厳重な警備もやむを得ません。」
 アリさんが説明する。いろいろと治安が取りざたされるこの地方のことだから仕方ないのだろう。この人たちは軍隊ではない。警察の人,といったほうが近いのだろう。この人たちにカメラを向けてはならない,と注意を受ける。
 もちろん,遺跡だけでなく,教会,博物館などの観光地も同様である。
 交通の警備もある。カイロでは「信号無し」。「信号無視」ではない。交通信号が非常に少ないのである。横断も追い越しも人の判断による。従って,交通事故で被害に遭ったとしても,遭った人の損となることが多いという。
 観光客の警護というのもある。ホテルの前にはセキュリティの設備もある。警備の人が周りに何人もいて終日の警備をしている。
「このホテル(私たちの泊まったホテル)には小泉さんも泊まりました。」と,前川さん。アジア・アフリカ会議(だったかな)の時だという。まわりに何にもないところだから,警備はしやすいのかもしれない。
 観光客の警備もある。私たちの観光バスに乗っているセキュリティの人がそれだった。初めは何をする人かわからなかったが,ちゃんと銃を持っているのだ。彼は私たちとはあまり話をせず,しかし,ずっと私たちと行動をともにしていた。