そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.529  トルコ・エジプト悠久の旅18
ラマダン明けて
 11月3日。エジプトもイスラムの国である。エジプト人の90パーセントはイスラム教徒だという。ガイドのアリさんもその1人。もっとも彼はシナンさんのようにラマダンはしていないようだ。「私たちのような仕事をしている人はしなくてもいいのです」と自分でも言っている。
 さて,昨日でラマダンが明けた。今日から3日間お祭りになるという。遠くからやってきている学生たちは家に帰る人もあるそうだ。今日はカイロ市内のイスラム地区のモスクを中心に観光をすることになっている。
 市内の南東部に位置するイスラム地区には,モスクが集中している。学校も休み,大勢の子どもたちがモスクや博物館に来ている。道を歩いている女の子たちもきれいな服を着てうれしそうにしている。
 観光予定のモスクの近くの坂道で,喧嘩が始まった。私たちのバスの前にいた馬車に警備の警官が近づいて何か言ったと思ったら,馬車の側の人が言い返して,激しい言い合いになったようだ。私たちのバスの観光警備員とアリさんも車を降りる。バスを通してくれるよう交渉しているらしい。こんな時こそ警備員が乗っていると心強い。ものの何分かで収まったようだ。後で聞いたところによると、警備の警官が「馬車はここから上がってはいけない」と注意をしたところ,馬車側の女性が怒り出したところから喧嘩になったらしい。どうも位の低い警官に注意をされたことが気にくわなかったようだ。上の位の警官がとりなしに入ると,簡単に収まったという。
 トルコでも渋滞の路上で運転手同士の喧嘩を見た。ほとんどが済んでしまえば「ヤアヤア」で握手をして終わり。この辺りに住む人々の人間性かもしれない。
 街に出ている人々がものすごい。モスクにお参りする人が道いっぱいになっている。モハメド・アリ・モスク,軍事博物館,イブン・トゥールーンモスクなどを見てまわる。子どもが多い。無料開放になっているという。あいかわらず,セキュリティーが厳しい。特にカメラは何度もセキュリティーにかけられる。
 私のカメラはデジタルカメラだから心配ないが,フィルム式のは危ないと思う。実際妻のフィルムは帰国後現像してみると部分的に感光(被爆といったほうがいいだろうか)していた。十分注意するように言っているのだが,なかなか難しいのかもしれない。そこまで厳しくする必要があるのか知らないが,観光のわれわれにとっては何とかしてほしいことだ。
 もっとも,ピラミッドの内部(ここは写真撮影全面禁止)で悠々とカメラを手にしている日本人もあったので,文句も言えなくなってしまうが。
「ラマダン明けには,まずナツメヤシを食べます」というナツメヤシ(写真)は,カイロ付近にはいっぱい栽培されていた。食事にも出されていて,あまり食欲がすぐれない妻もおいしそうに食べていた。