そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.531  赤い実

 〜赤い鳥,小鳥, なぜなぜ赤い。 赤い実を食べた。
          「赤い鳥小鳥」北原白秋作詞・成田為三作曲〜

 ここに出てくる「赤い実」が何だったのかはわからない。「赤い鳥」もだ。私が見る限りではそんな鳥は知らない。ま,とにかく「赤い実」だ。初冬のこの時期「赤い実」はずいぶん多い。私の家のまわりから赤い実をさがしてみる。
 サンシュユ 早春の黄金色の花からハルコガネバナ,珊瑚のような実をつけることからアキサンゴとの別名を持つ。透きとおるような赤がキラキラと輝いて美しい(写真)。
 マンリョウ ヤブコウジ科の常緑小低木。センリョウに勝るところからつけられた名前。葉の上に実を現すのがセンリョウ,葉の下に垂れるのがマンリョウと覚えると判りやすい。
 センリョウ センリョウ科の常緑小低木。千両と漢字を当てるのが普通になっているが,江戸初期までは仙蓼だったらしい。わが国では観賞植物となっているが,海外では薬用植物として知られている。薬効としては解熱作用があるといわれる。
 ヤブコウジ ヤブコウジ科の常緑小低木。漢字では藪柑子と書く。藪の中に生える甘い果実の意。古くは山橘,藪椿など。十両はセンリョウ・マンリョウに対してつけられた名。
 ナンテン 漢字では南天。中国名の南天竹,南天燭に由来するものらしい。わが国では厄除けになるといわれているが,「難を転ずる」と語呂合わせをしたもののようだ。
 オモト 丈夫で長持ち,四季を通じて緑を保つ,そんなところから「万年青」の字が当てられた。また,赤く色づいて丸い実を母親が子どもを抱きしめているかのように見えるところから「老母草」の名も当てられている。ユリ科オモト属の多年草。
 ツルウメモドキ モチノキ科ツルウメモドキ属つる性落葉低木。ほとんどの木が葉を落とし,草も枯れる頃になってひときわ赤い実が目立つ。蔓は放っておくとどんどん延びてまわりの樹木に絡みつくので,適当に切り詰めてやらなければならない。
 フユサンゴ 球形の果実が初冬のころ珊瑚色に熟すところからつけられた名前。原産地はブラジル南部という。ヨーロッパを経由して,明治時代には日本に入ってきていたらしい。ナス科ナス属の常緑小低木。欧米ではクリスマス用の鉢物として使われているそうだ。
 まだまだ赤い実をつける植物はあるがスペースがない。

 ところで,なぜ赤い実をつける草木がこのころには多いのか。そのことに関係して,小鳥は赤や黒の色に刺激を受けることが多いのだという。食欲を刺激された小鳥に食べられた赤い実は,別のところに運ばれ,種子はそこに糞とともに落ち芽を出す。種の拡散,保存がこうして行われる。植物が選んだのか,神様が選んだのかそれは分からないが,自然のなせる業は不思議としか言うほかない。
 しかし,「サンシュユはまずくて小鳥も食べない」と妻は言う。私は食べたことがないからなんともいえない。

 12月には珍しい大雪になった。ニューヨークの寒波がニュースになっていたから,そろそろだなと思っていたら,一晩明けて(12月13日)30センチを越す雪を見る。雪かきに午前中かかって,午後は青谷町内の小学校の研究会の指導助言。一日おいて15日の朝も15センチの新雪。ここ1週間ほどは1か月も早い雪に悩まされそうだ。