そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.538  七草

  セリ ナズナ オギョウ ハコベラ ホトケノザ スズナ スズシロ これぞ七草
 正月も7日は七草粥。例年はセリなどは近くから取ってくるのだが,今年は雪が積もっているためそれができない。店には取り揃えて売っているかもしれないが,買ってまでする必要もなかろう。
 という訳で七草にならないので,せめて七草のことを調べて書きとめよう。

セリ 名前はこの草の茂った状態が,まるで「競り合っているようだ」というところからつけられたと言う。その状態を写真に撮ろうと思ったが,まだ雪の下。セリ科の多年草。東南アジアが原産地だが,わが国にすっかりなじんで,小川のほとりや田んぼのあぜにに生え茂っている。学名もOenanthe japonica。
ナズナ 茎の長さ15〜40センチ。根元の葉は深い切れ込みがある。小さな白い花をつけ,三角形の実をつける。別名ペンペングサの方がよく知られているか。三味線草とも。どちらも莢の形が三味線の撥に似ているところから。
オギョウ 漢字では御形(時として御鏡とも)の字を当てるというがどうしてだろう。オギョウ(ゴギョウ)は古い呼び名で,ホウコとも呼ばれる。ホウコ(ハハコ)は枝を四方に広げて地面を這うように茂るところからつけられた。調べるときにはハハコグサの方が早かろう。キク科ハハコグサ属の越年草。
ハコベラ ハコベ。「はびこる」の意,葉の形から「ハコボルル(葉覆)」などいくつかの語源説があるが定かでない。ヒヨコグサ,スズメグサなどの俗称がある。実際に小鳥たちはこの草が大好きで,緑の乏しい早春にこの草の生え茂っているところに集まってくる。ナデシコ科ハコベ属の2年草。
ホトケノザ シソ科の2年草。葉の脇につく赤紫色の花を仏様に見立てて「仏の座」と言う名前が付いた。茎は四角で根元の方で枝分かれして立つ。葉は下の方のものには柄がある。花は3月から5月ごろ,道ばたや畑のふちによく見られる。
スズナ カブ(蕪)の異名。語源説としては,小菜の義,スズハナナ(鈴花菜)があげてあるが果たして。
スズシロ スズシロナ(清白菜),ダイコンの別称。根の特徴から付いた名前,と簡単に考えたが,語源説を見ると,スズナの代わりに用いられたところから「スズナシロ(菘代)」という説,が1番に出ている。

 詳しく調べられないものもあったが,まずまずこんなところ。まあしょうがない,スズシロやスズナは何とかなるとして,後はニンジンでも入れた粥にするか。

 この項,藤島弘純他著『山陰の人里の植物』,西良祐著『花を贈る事典366日』,小学館『日本国語大辞典』を参考にしました。