そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.541  一月新年観察会

  12月の観察会が都合によりできなかったので,久しぶりの会だった。初めから教室での観察の予定で,ビデオ視聴を中心にして学習した。

 まず大山の植物について。1700mほどの山だが,実に多くの種類の植物があるという。
 600mくらいまでは暖帯である。アキノキリンソウ,クサボタン,カシなど多くの植物を見ることができる。600mから1600mくらいまでは温帯。ブナがこのあたりの代表である。1600m以上は亜寒帯。シモツケソウ,イヨフウロ,ダイセンキャラボクなどが見られる。さらに頂上付近では,氷河時代の生き残りとも言える植物を観察できる。つまり大山には,九州から北海道までにわたる植物が見られ,さらに氷河期にまでさかのぼるものも見ることができるということだった。
 また,ダイセンと名のつくものが非常に多い。独立峰である大山には独特の進化をしたものがあるのだという。中にはダイセン………と名付けたが,調べてみると他の地方にもあって,正式にはダイセンをつけないものもあるそうだ(ただし,俗称としては使われるものも多い)。

 次は生育環境について。
 今はまだ雪の下だが,植物は冬の寒さに耐えて花をつける。例えばタンポポはロゼットという形で葉の下の温度を保ち冬を過ごす。ハスの地下茎は水の下のさらに土の中で,また,多くの植物は種の形で冬を過ごし春に芽を出す。
 植物の成長には水,光,温度が欠かせない要素だが,それは一様ではない。例えばシダの仲間は光が当たらないと発芽しないが,モヤシは光のないところでも発芽する。それぞれにあった生育環境で発芽し,成長する。

 動物ではカスミサンショウウオとタコブネについて学習した。
 カスミサンショウウオについては資料をもとに話された。久松山の山頂近くでも多くのカスミサンショウウオが見られたという。現在でも県内各地で見ることができるが,だんだん少なくなる傾向だという。私もこれについては,家の近くで捕まえたことがあり,清末先生に教えてもらったりもしたので,よく知っていた。鳥取県の絶滅危惧種になっている。日本のサンショウウオは13種類あっていずれも固有種(日本にしか生息していない)だという。
「タコブネ」と私たちは普通呼んでいるが,正しくはアオイガイまたはカイダコ。あのきれいに作られた「船」は子どもを養うゆりかごだそうだ。また,外に出した2本の足は,進むために使うのではなく,船を作ったり修理したりするためのもの。水面に浮いて進むのは,酸素を取り入れるためだという。何十年か前には私もよく浜村海岸を歩いて「船」を拾うことがあった。大きいものは土産として3000円で売られているというから驚きだ。

 そんなこんなでたくさん勉強をして,後は恒例の新年会。松江の柏井さんもわざわざおいでになり,みんなでにぎやかに新年を祝う。今年はどこの観察ができるかな。なにはともあれ,みんな元気でよい観察ができますように。(写真は清末先生から「お言葉」をいただいている会員。私は以前にいただいている)