空の山通信11

No.563  岡本太郎展

 岡本太郎については,改めてここに書くまでもない。大阪万博の太陽の塔の作者として有名だし,「芸術は爆発だ」という言葉もよく知られている。私自身太陽の塔は万博で見たし,現在も万博記念として残されているから,見ることはできる。
松江の島根県立美術館で岡本太郎展をしているというので見に行くことにした。ちょうど棟方志功展を米子市立美術館でしているので,松江に行って岡本太郎展を観賞して,昼食後に棟方志功展を鑑賞しようと考えた。

 ここ2・3日天気がよい。春が一気にやってきたという感じだ。島根県立美術館には何度も来ているが,湖畔の美術館でとても感じがいい。ただ,惜しいのは駐車場が少し離れたところにあるということだ。しかも,自動車道からの降り方を少し間違えると,駐車場の入り口を求めてうろうろしてしまうことがある。駐車場を含めたもう少し広い土地がなかったのかな,と思ってしまう。

 平日なのであまり鑑賞者も多くなく,昼食の予約まではよかろうと中に入る。
 岡本太郎は岡本一平と岡本かの子の子ども。つまり芸術家親子ということになる。18歳で東京美術学校に入学しながら,半年でやめて両親の渡欧に同行するというさすが芸術一家と思ってしまう。太郎の芸術は,「うまくあってはいけない。きれいであってはならない。ここちよくあってはならない」というものであった。既成概念にとらわれず,いや,既成概念を打ち砕き,新しい芸術の世界を構築しようとするものであった。シュールの世界,圧倒されるような赤や青の世界,形も,内容も理解は難しいのだが,なぜだか感じるものはあった。
 見て回っているうちにだんだん人が増えてきた。バスが二台止まっていたから団体客が入ってきたらしい。でも,ゆっくりと見て回って少し疲れた。芸術鑑賞はくたびれる。

 昼を美術館の中でとって米子に向かう。場所の大体は分かっていたが,ちょっと迷いながらも米子市立美術館に到着。と,車を降りたところで「なんだ,これは。」と叫んでしまった。「水曜日は休館」とあるではないか。休館日のことを考えていなかった。こういうところは月曜日か火曜日が休みのことが多いので,全く頭になかった。せっかく二つの展覧会を梯子して回るつもりだったのに。どうも癪に障る,とぷりぷりしていると,妻が「素鳳ふるさと館に行ってみようか。」という。皆生に小さな展示館があって,今なら雛人形展をしているかもしれないというのだ。
 ちょうど昼休憩時だったが,事務員が部屋を開けて見せてくれた。個人寄贈の人形コレクションを常設展示しているという。江戸時代の雛人形など貴重なものを見ることができた。ちょっとすっきりして帰路についた。でも,棟方志功展にはもう一度来よう。