空の山通信11

No.565  卒業式が近づいた

 卒業式が近づいた。4年前まで勤めていた小学校から案内がとどいた。退職して4年も経つのだからもういいと思うのだが,鳥取市などはその学校で退職した校長にはずっと案内を出すという。そんな話を聞いて,
「まあそこまではしなくてもいいけど,私が校長の時に入学した子供が卒業するまでは来るかなあ。」

 そう言ったからというわけではないが,毎年案内状が来る。去年は以前に勤めていた学校が統合でなくなる閉校式と重なったため欠席をした。それでも祝詞だけは届けようとパソコンを駆使してつくった。
 私の祝詞は,アルバム風である。1999年からデジタルカメラやパソコンを使っているので,それに取り入れた写真の中から思い出になりそうなものを各学年選んで,プリントアウトする。何枚にもなるが,まあ知れたものだ。
 
 どこの学校でもアルバムを作っていた。学校アルバムもあり,学年・学級アルバムもあった。卒業文集に写真を使おうと思えばその中から選ぶこともできたし,卒業式の日の壁面の飾りにも使えた。
 ところが,デジタルカメラがこれほど普及し,パソコンに写真が入れられるようになって,その作業がおろそかになってきている。大事な一枚として保存し,一年の終わりには整理するという作業が少なくなったのだ。

 確かにデジタルカメラは便利で,手軽に写すことができ,利用も簡単で使い道は広い。しかし,その簡単さが「大事な一枚」を失う原因になってしまった。写すことも簡単だが,消す子とも簡単だ。パソコンに入れても整理をしない。せめて一年分をまとめて,CDにでも入れておけばいいが,それをしない。たまるばかりだと邪魔になり,整理も面倒で,パソコンの容量にも影響するようになるから「えいっ」とばかり捨ててしまう。
 こうして壁面を飾っていた写真が少なくなってしまったというわけだ。だから昨年も卒業式の2・3日前に写真の祝詞を持っていったら大変喜ばれた。

 今年も,と張り切って作ったが,今年の卒業生は1・2年生のときしか私と一緒でなかった。4年生のときに研究大会をしたので,そのときの写真も入れたが,それでも半分の学年しかない。まあでもいいや,1・2年生のときの写真を見れば,きっとなつかしくそのころのことを思い出すだろう。少しでも卒業式の雰囲気を盛り上げることができればいいわけだ。CDから写真を選び出す作業は大変だが,そんなことを考えながらやれば仕事もはかどる。