空の山通信11

No.569  梅開く

 ひらきかけて寒さに会って,ちょっと遅い我が家の梅も咲いた。
  梅が香にのつと日の出る山路かな   松尾芭蕉

 ツクシもスギナも出てきて,いよいよ草取りのシーズンが始まる。
「1平方メートル草取りをしてくる。」
 これは私が退職したときの一日のめあてだった。実際には2平方メートルにも4平方メートルにもなり,逆にツクシとスギナしか取っていなかったりするのだが,まあなんとなく楽にできる庭園作業である(この作業は秋の終わりまで続くのだから,「楽」といえるかどうかは分からないが)。

 この時期の草取りは,結構面倒である。上に伸びている茎や葉よりも,根の発育がすごい。引っこ抜くと砂や土をくっつけてどっしりと出てくる。土の中ではこれからしっかり伸びようとする要素をしっかりと蓄えている訳だ。抜いたあと土を落とそうとしてもなかなか落ちるものではない。細い根にしっかりくっついて植物を守ろうとしているのだ。
 だからそのまま捨てても植物は枯れにくい。気候に会わせた体の作りを自然に身につけている。

 厳しかったこの冬の影響なのか,分からないこともある。ウグイスの初鳴きを我が家で3月11日に聞いた。「ホーホケキョ」と確かに鳴いていた。「山陰の気象の暦・統計」によると,鳥取のウグイスの初鳴きは3月11日と出ているからぴったりなのだが,浜村でこの時期に聞いたのは初めてだった。たいがいはじめは,「ケキョケキョ」と練習のさえずりが多いのに。
 ツバメ初見は18日(「山陰の気象の暦・統計」)。これも早い。
 平年は25日ごろ,最近はずっと遅くなって4月でないと姿が見られないことも多かった。日本の機構とは違った要素が影響していたのだろうか。
そのあと雪が降って寒い日が続いた。この日姿を見せたツバメは,その後どうしたのだろうか。
 
 なぜか空がぼんやりとして,気温が上がらない。これは黄砂かもしれない。
 黄砂…中国の黄土が季節風に巻き上げられて日本上空までやってくる。春霞の様。
 何年か前に西安・北京を旅行したことがあったが,晴れた日も空はいつも「花曇」の状態だった。日本では春先によく見られる現象で,気温はあまり上がらず空は曇っているようで薄日が差す。