空の山通信11

No.582  シルクロード旅日記4

 夜,時々目が覚めて少し寝不足の感じ。4時には完全に目が覚めてしまったが,日本時間でいえば5時だから,私にとっては普通の朝,日本時間が頭の中では生きているらしい(いわゆる時差ぼけ状態)。
 朝食は早朝のことでホテルでは対応できず弁当。サンドウィッチ,ゆで卵,ウィンナソーセージ,バナナ。まずくはないが昨日からサンドウィッチばかりで,変化がほしいところ。マレーシアの列車で食べた弁当を思い出してしまった。あれはまずかった。バサバサのご飯の弁当なんて食えたものではなかった(と言いながら私はそのほとんどを食べたのだが,妻は「食べられない」と言って残してしまった)。今日のは特にまずいのではない。ちょっと飽きただけだ。

 空路ウルムチへ。8時20分出発の予定がなぜか遅れて9時出発。理由説明なし。やっぱり中国らしい。出発してしばらくして添乗員の瀬野さんが,
「ウルムチへは予定通り12時10分に到着します。」
と連絡してきたが,あまり信用できないな,と思う。
 山岳地帯に入ると黄砂がかかって,空は晴れていても地上は見えなくなった。そして2時間ばかり,雪をかぶった嶺々が見える。天山山脈である。3千から5千メートル以上の山々が東西に延びる。高いところは真っ白く雪に覆われ輝いていた。私はスイスの山々を上空から見たときの感動を思い起こしていた。
 ウルムチに近づくにつれて,岩肌の黒さが目立つようになり,すっかり空の下に出た機は市街地を眺め飛び,空港へ降りた。12時57分着,定刻通りなんて,ありえない。

 ウルムチ(烏魯木斉)。新疆ウイグル自治区の首府(日本の県庁所在地)である。しかし,新疆ウイグル自治区は東西2000km南北1700kmにも及ぶ広大な自治区である。
「疆」の字の意味について,3つの一は山脈を表すと言う。その間にある田の字は平地を意味する。弓偏は武器,中に入っている土は土地を表す。山脈に挟まれた土地と人々を守り成り立っているところ,ということらしい。

 昼食(田舎料理・この地方で普通に食べている料理を観光客用に整えたものらしい)をとっていると,ものすごい爆竹の音がする。おお,なんと私たちの歓迎をしてくれているのか,と思って聞いてみると結婚式がこのレストランで行われているとのこと。
 食事を済ませて「見てもいいですか」とたずねると,「いいですよ」ということで,ちゃっかり会場に入って写真を撮らせてもらう。披露宴の最中で神妙な顔をした新郎新婦の隣で司会者が何かしゃべっている場面であった。