空の山通信11

No.591  シルクロード旅日記13

 6日目の朝,「朝食はホテルでどうぞ」となっていたから,バイキングかな,と思ったが違っていた。やっぱり会食。さすがにビールはつかないが,中華朝食だった。朝食くらい自由に食べられるバイキングがいいのに,と思ってしまう。
 敦煌市内観光までに時間があるので,ホテルの近くを散歩する。すぐ前の通りをはさんで朝市をしていた。こういう庶民の市はおもしろい。軽トラや荷車自転車で野菜がどんどん運び込まれてくる。昔ながらの均量で量っているおじいさんがいる。大きなセロリが売ってある。ここはそう大きな朝市ではないが,人が行き交い賑やかな町の様子が感じられる。

 初めに敦煌市博物館の見学をする。玄関前に大きなラクダの彫像があった。この博物館には漢代の木簡,古銭などが展示されている。グループに説明の館員が一人ついたが,こういう説明は当たりはずれがある。私たちのグループは少々旅の疲れも出るころで,分かりにくい日本語の説明を離れて,隣のグループの説明を聞いている人もいる。
 沙州市場の見学。朝市というのではなく,常設市場なのだろう。大きな魚がある。昨日食べた魚だろうか。野菜,キノコ,ジャガイモも売られている。饅頭も作っている所だ。どこの市場も活気がある。
 民芸品店で敦煌最後の買い物の時間になるが,絨毯も見飽きた感じ。このグループはあまり高価な買い物に熱心でない。
空港に向かう途中黄砂の竜巻を何度も見た。こうして巻き上げられた黄砂が日本へも行くのだろうか。

 敦煌・西安は飛行機で2時間あまり。空港の外へ出て緑が目に沁みるのに驚く。シロツメクサが地面を覆っている。ニセアカシアの花,タニウツギの花が咲いている。日本よりちょっと季節が早いようだが,それにしても普通の風景なのに。すっかり西域の風景に慣れてしまっていたのだ。

 ここは,シルクロードの発着点。ここには9年前にも訪れていた。
 西の城門などは車窓見学で,早速華清池へ向かう。ここの現地ガイドは林さん。「これまでに西安に来られた方はありますか」「ハーイ」と手を挙げる。「何年前ですか」「7年前になります」「そうですか。じゃあすっかり変わっていますよ」「そういえば,華清池はこれだったの? なんだか違うよ」以前は向こうのほうだったのですが,工事中です。こちらのほうに移しています」
 生けのまわりには花も植えられ,とてもきれいになっている。ただし,なんとなく趣を感じないのは,前の華清池の印象が残っているからだろうか。そのときのガイドの趙さんは,玄宗皇帝と楊貴妃の話をして聞かせてくれ,白楽天の「長恨歌」を中国語で聞かせてくれた。
 観光地をきれいにしようという中国の観光行政(なのかどうか知らないが)は分かるが,ちょっとさびしい感じもする。