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No.594  塩っぺの話

 春の山菜のシーズンなので,せめてワラビくらい息子たちに持って行ってやろうと朝早くでかけて収穫する。東京じゃあなかなか食べられないだろう。もちろん採りに行くこともなかろう。シーズンといっても低い山はもう終わりに近い。それでもゴールデンウィークが終わって,山菜採りもちょっと淋しくなる。ということは多い収穫が望めそうだ。30分もすると二人合わせてナイロンの買い物袋に半分以上は採れる。
 次男のほうには今回は直接家を訪問する予定はないので,荷物にして送ってやった。長男のところで「調理してやりましょう」と,妻は張り切っている。

 ワラビの料理について一談議。灰汁抜きなどは基本的なことだが,「塩っぺをいっしょにしてまぜて食べるとおいしい」と妻が言い,私と長男も「そうだ,塩っぺだ」と言う。「えっ,何のこと?」と長男の嫁さん。食べたことがないと言う。いろいろと説明するがわからない。ついにインターネットで検索。
「やっぱり,これは関西方面で売られている食べ物なんだ」
 関西の業者が売り出した加工食品で,関東では見かけないのも仕方のないことらしい。

 浜松町での演劇鑑賞からの帰り,ちょっと飲み物を買うか,と私が店に入っている間に,妻が「塩っぺ」に似た昆布の加工食品を買い求める。
「今晩はこれでワラビを食べよう。」
 次男夫婦もやってくる。
「ワラビどうして食べたの。」
「灰汁抜きをして,塩をつけて食べました。」
「『塩っぺ』って書いてあったでしょう。」
「それって,塩をちょっと可愛い言い方をしたのかと思っていました。」
 そうか,やっぱり関東では通じない食品なのか。調べてみると「アラ」もそうだという。私たちが普通に食べ,全国共通だと思っているものにもちゃんと「国籍」があったのだ。

 東京に塩っぺはなかったが,もどきの「塩昆布漬けワラビ」をみんなが「うまい,うまい」と言って食べた。帰って私もインターネットで調べると,「ワラビの塩っぺ漬け」「塩っぺ茶漬け」なども出ている。
「今度はワラビと一緒に塩っぺも送ってやろう。」
 妻は張り切っている。