そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.60 歯医者 

 歯医者に通っている。
 4月20日ごろ,急に歯茎がはれた。祭りまでは我慢をしたが,なかなかはれがひかないので,ずっと以前にかかっていた歯科医院に行くことにした。
 診察してすぐの先生の言葉,
「この歯はもう駄目ですよ。すぐ抜きましょう。」
「はあ。」
 口をあけたままできる返事はそれだけである。

 歯を抜いたのはこれで2本目,私の歯は32本全部生えそろっていたから,残りは30本ということになった。
 1本目を抜いたのもこの歯科医院であった。15年ほど前のことである。それまで歯医者にかかることは全くなかったのに,転勤して教務主任になり歯が痛くなった。やっぱり先生の「抜きましょう。」の一言で抜いた。

 次に歯医者にかかったのは7年前,校長になった年だった。このときは勤務地に近い歯科医院で見てもらった。やはり,「抜きましょうか」と言われたので,「はあ」と答えたがなぜか抜かれずに残っていた。
 その後半分ばかり欠けた歯があるが,特に痛むこともなく,今になっている。どうも仕事の内容や環境が変わると,私の歯は反応するらしい。

 さて,2本目を抜いて歯を入れることになった。1本目はいちばん奥の歯,つまり「親知らず」なのでなくても差し支えなかったが,今度は奥から2本目なので,そうはいかないようだ。抜いた後がしっかり治って,さあ入れましょうというときになって怪我をしてしまったのだった。
「しばらく通院できません」旨の連絡を入れておいたが,怪我の方も普通の生活をして差し支えなし,というところまで治ったので治療再開。病院での歯磨きが十分にできていなかったので,また歯石掃除からということのようだ。

「8020運動」と言うのがある。"80才で20本の歯を"という運動らしい。でも,途中がない。いきなり80歳になるわけがないし,80歳までに歯をそれ以上に失っちゃった人はどうするんだ。
 私は60才で30本の歯である。80才で20本も残らないかも知れない(いや80才まで生きるほうが難しいか)。しかし,なんとかこの歯を大事にしていきたいと思い,治療に専念しているところである。         (2002.7.12)