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No.603  はるかな尾瀬1

 今年の自然観察会の旅行は尾瀬で行うことになった。観察会ではこれまでに2回の尾瀬旅行をしているということであったが,私は初めてであった。今回は妻もいっしょに行きたいという。毎月の定例観察は会員だけの会だが,年に2回行うこの特別観察は少し広く呼びかけることにしている。今回も会員以外の人が何人か参加して,合計23人になった。
 私も妻も初めての場所なので,どんな準備が必要なのだろうかと事前研究に努める。

 まず天候はどうか。それによって持ち物・服装が決まる。6月の中旬なのでこのあたりは初夏の気候だが,テレビで全国各地の天気を調べる。
〜〜 群馬県片品村(尾瀬ヶ原で今回の私たちの行動範囲のある村)……天候はその期間中雨,気温は11度から22〜23度。群馬県草津町(私たちの泊まるホテルのある町)……天候・気温ともに片品村と同じ,やや気温は低いくらい。〜〜これはかなり寒い。しかも十分な雨対策が必要だ。ガイドブックなども参考にして,少し厚めの衣類を準備,さらに上下の雨着を用意。傘も持ち,乗り物用に軽い履物も持ったりで,結構な持ち物になった。
 ところが,出発当日朝,最終チェックの参考にに天気予報を見て驚いた。なんとこの日,夜から天気は上がって,尾瀬観察の日は晴れのち曇り,翌日は曇りのち雨,と変わっていたのである。気温もかなり高くなりそうだ。そうは言っても雨具の用意は念のためしておかねばならない。衣類を多少変更しただけで全体の量はあまり変わらなかった。

 もう一つ準備したことがあった。「せっかく尾瀬に行くんだから,『夏の思い出』の歌くらい覚えよう」という妻のことばをヒントにしたのだった。
 図書館から一冊の唱歌集を借りてきて,その中から同じような年代の人なら多分歌えるであろう童謡唱歌を選び出し,参加人数分プリントして小さな歌集を作成した。長いバスの旅のひとときをうたって過ごすのもよかろう,と考えたのである。「夏の思い出」「夏はきぬ」「故郷」「スカンポの咲く頃」など9曲になった。作るに当たってちょっとだけ気をつけたのは,「原文のままに」ということであった。例えば「スカンポの咲く頃」で,スカンポは「酸模」となっている。また,「僕ら小学六年生」と習ったと思われる歌詞は「僕ら小学尋常科」となっている。あえてもとの歌の通りにしたのである。ちょっとした話題が生まれるのではないか。
 
 今回の鳥取出発は午後7時。つまりバス車中泊となる。車を清末先生の所に置かしてもらうことにして5時20分自宅発。途中の渋滞もなく,6時には清末先生宅に着いてしまった。島袋先生(沖縄)も来ておられて,しばらく歓談。
清末先生宅6時40分ごろ出発,鳥取駅南で待っていた会員がすべて乗車してほぼ定時に出発,いよいよ尾瀬に向かう。途中中国,名神,中央,長野,関越の各自動車道を経て明朝6時尾瀬高原ホテル着。実に11時間のバスの旅である。バスを使うことは海外旅行でもよくしたが,夜をはさんで11時間という経験はない。ちょっと不安も持ちながら尾瀬の旅は始まった。