そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.71 同窓会 

 
 私が40年ばかり前に卒業した鳥取大学の教育学部の同窓会は,卒業生全員の県組織を持っていて,毎年総会を持ち郡部会も持たれている。今年も郡の総会・懇親会が先日開催されたので,退職して暇のある私も出席することにした。
 県の組織はこのたび法人として認可されたそうであるが,それに伴なっていろいろなことが変更になった。

 まず,「同窓会」ではなくなったこと。教育振興を図るための組織であり,「同窓会」というような懇親を目的の中心に置くような会は法人として認められないのだそうだ。
 したがって名称も「同窓会」は使わない。
 1大学の卒業生に限って会員とするいう組織ではなくなったこと。この会の目的に賛同するものであれば会費を払って誰でも会員になれる。
 大きな変更は上に上げたようなことだが,それに付随して変わった点はまだまだある。

 鳥取大学教育学部も幾多の変遷を経てきた。その前身は鳥取師範学校,鳥取女子師範学校,鳥取青年師範学校であるが,私が入学したころは鳥取大学学芸学部であった。その後教育学部となり,現在は教育地域科学部となっている。
 したがって卒業生の名簿を見ても,同じ年代の人は分かるが,その前も後もたいへん複雑で分からない。どれだけの人数があるのかも私は知らない。同窓会の会員だといっても縦のつながりはあまりないと言ったほうがいい。

 このような変遷は,おそらく国の教育に対する政策の変化によるものであることが大きいのだろうと思う。
 そして今,また大きな変化が起きようとしている。鳥取大学の教育地域科学部が島根大学に統合されるというのだ。全国的な少子化により,教員が余るようになってきている。採用はだんだん少なくなってきた。そこで国立大学の教員養成学部の整理統合が行われるようになってきたということだ。全国でももっとも小規模の鳥取大学は,早速その対象になったらしい。小さな県の取り潰し,ですよねえ。

 さてそうなると,この同窓会(という名前は使っていないが)はどうなるか。卒業生でなくても会員になれるといってもやはり卒業生が主だと考えると,次第に会員はなくなる。そして消滅する。それが目に見えていると思う。 
 今年の郡支部の総会は,去年よりも参加者が減っていた。それも私よりも高齢の人がほとんど。どうなるのですかねえ。年々さびしくなっていくのでしょうか,この会は。
                        (2002.8.27)