そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.88 アオムシ 

 
 畑に植えたブロッコリーが大分大きくなって,今年もいい収穫がありそうだと思っていたら,葉が食われているのに気がついた。
「アオムシだ。」
 そういえばこの間からモンシロチョウがひらひら舞っていた。

 モンシロチョウは3月の終わり頃から見られる。キャベツ畑があればどこでも見られ,手に入れることもできる。小学校の理科でも,育ち方,体のつくりなどを学習するのに飼育・観察することが多い。キャベツに産みつけられた卵をキャベツの葉ごと取ってきて,飼育箱で飼う。卵,幼虫,蛹,成虫まで,いわゆる昆虫の完全変態を観察するのにちょうどよい教材となる。

 成虫になったモンシロチョウは,飼育箱の中を飛びまわり,教室の中からやがて外へと舞い立っていく。子どもたちはうれしそうに見送る。文部省の指導要領では,「動物や植物を愛護する態度を育てる」こともねらいとしているから,それはそれでいいのかもしれない。

 しかし,作物の側からすれば蝶は明らかに害虫である。葉を食べられたキャベツは売り物にならないだろう。
 我が家のブロッコリーだってアオムシに食べられてしまってはたまらないから,毎日葉を1枚ずつ見なければならない。数が知れたものだからできることだが,農家ではそうはいかない。そのため生産農家では農薬を使うことになる。

 そのあたりのところを教室ではどう教えているのだろう。まあ,学校でモンシロチョウの飼育・観察をやめたところで,モンシロチョウがいなくなることもなかろうが。
 ずいぶん前になるが,ショウジョウバエの飼育・観察が指導内容になっていたことがあった。これも保健衛生面などいろいろ取り沙汰されて取り止めになった。理科教育にもあれこれ話題が多い。

 さて,台風21号が過ぎてまたいい天気になった。モンシロチョウが飛んでいる。また卵を産んでいるのだろう。清末忠人氏の『ヒマワリの花はまわるの?』によると,モンシロチョウは,卵,幼虫の期間が気温によってかなり違うのだそうだ。秋風が吹いて大分涼しくなったこの時期,アオムシの出現は明日・明後日あたりかな。(2002.10.4)