そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.98 国文祭見て歩き 

 
 せっかくの国民文化祭だ。私には時間もたっぷりある。入場はどこの会場も無料だし,交通に時間と費用は多少かかるが,近くである催しは見ておこう。平日には大きなイベントはないが,展示は毎日しているものもある。
 まず,東郷町の「羽衣伝説フェスティバル」を見に行く。数年前には東郷町内の学校に勤務していたので,知っている顔に会えるかもしれない。そんな期待もしながら東郷町公民館を訪れた。

 しかし,この会場は期待したほどではなかった。伯州羽衣伝説にかかわる所の写真を,パネルにして展示しているものであった。東郷町の東郷池に天女が舞い降りて水浴びをしたと言われ,羽衣石山の大岩に羽衣を脱いで置いたという伝説がある。話はさらに倉吉市の賀茂神社,打吹山とかに広がっていくのだが,それはそれとして,パネルだけの展示ではちょっとさびしい感じだった。静岡県や滋賀県,京都に伝わる羽衣伝説のパネルもあった。なんでも4大天女伝説として売り出すのだそうだ。
 講堂の外のロビーには,小・中学生の天女伝説の絵が展示してあった。町内はもちろん,それ以外にも全国から募集したようだ。私が勤めていたころの子どもたちの作品もあり,懐かしく見て回った。

 誰に会うこともなく,これではわざわざ出かけたほどの収穫がないので,三朝町の「大三徳山展」まで足を伸ばす。三徳山は三朝温泉の東方約8kmの所にある標高900mほどの山だが,その中腹にある三佛寺・国宝投入堂が有名である。4年後には開山1300年を迎えるということで,「世界遺産に」という動きがある。
 展示会場になっているみささ美術館は,川の東側に沿った道を少し上り,さらに山に向かって上がったところにあった。

 入り口近くに投入堂の模型が作られている。投入堂には私も何度か登ったことがあるが,この模型はなかなかよくできている。
 中に入ると,ここはかなりの人が入っていた。ここには三徳山三佛寺の宝物が展示されている。木造蔵王権現立像,誕生釈迦仏,銅鏡など三徳山を下りたことがなかったものなのだそうだ。私自身は昨年三佛寺に行ったとき見たものだった。

 朝から少し降っていた雨が,美術館を出るころには本降りになっていた。
 もう昼も近くなっているので,今日はこのくらいにしておこう。国民文化祭の終わりまでには,まだ日にちもかなりある。せっかくの文化にふれるよい機会である。また時間を作ってどこかの会場を訪ねようと思っている。(2002.10.24)