そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.99 読書週間 

 
 10月27日から読書週間が始まる。11月9日まで,文化の日を中心にした2週間である。この時期になっているのは,読書が文化のバロメータと言えるのではなかろうか,と思っているが実際のところは知らない。「若者が読書をしない国に未来はない」といわれるほど子どもたちにとって大事な読書だが,さてどうだろう。
 
  私は校長をしているとき,この時期になると必ず読書週間の意義や読書の大切さについて,子どもたちに話をしたものだった。私自身のこの期間中の読書の予定を話し,みなさんも読みましょう,と読書をすすめてきた。
 今年からは子どもたちに話をする機会もないが,これまで通り,私自身の読書計画を立てよう。

 最近読んだものでは,『海辺のカフカ』上下(村上春樹 新潮社)がなかなかおもしろかった。売れ行きも上々のようで,新聞に書評も出ていたが,メルヘンのような不思議さ,現実的でない登場人物が,現実的でない舞台で動いている。テーマを云々する以前に文章,場面の転換の巧みさが光る。

 中川志郎の『動物から教わったこと』(アスペクト社)は,必要があって彼の何冊もの著書の中から借りた。県立図書館のものをリクエストしたので2・3日はかかるだろうと思っていたら,翌日には届いた。私がいつでも本屋さんに行くことはできないし,読みたい本が今,本屋さんにあるわけはない。図書館のシステムは大いに利用すべきだ。
 動物園の園長だった彼の作品には,以前にも何度か触れる機会があったが,まとまったものを読むのは初めてだ。

『日本語 語源の楽しみ』1〜5巻(岩淵越太郎著 岩淵匡監修 グラフ社)
この本は,新聞広告を見て求めたものだが,内容は,私の予想していたものとは若干違っていた。私が「語源事典」のような内容を考えていたのに対し,日本語・日本語独特の言い方について,Q&Aの形で日本語の本質に迫るものであった。見開き2ページ15問のクイズ形式なので,取りかかりやすい。答えはその後4ページの解説がある。常識的な問題からかなり高度なものまで,2475の項目にわたっている。
 まとめて読んでも,必要に応じて調べてもおもしろい。

 気高町の図書館建設が結局あいまいなままに立ち消え,市町村合併問題の嵐に跡形すらもなくなってしまった。冒頭の「若者が……」の前に問われなければならないのは誰だろうか。(2002.10.26)