studio BReeZe Revised Edition
-- passing through the Night. --

Mu-Tex(仮)

Last update 10 Feb 2002[Sun.].

Written : Kasama, Light
Designed : Sue, Nakaaki
Designed and Assisted : Fujiduka, Yoshiaki
and studio BReeZe

はじめに
登場人物紹介
序章

はじめに

 「指輪物語」のおかげで(加えていうなら「Kanon」と「Air」にも助力を得て(笑))、ようやくモノを書く力(というか気力?)を取り戻しつつあるので、それを膨らませていくつもりで創作物も書いていこうかと思い、駄文をしたためます。
 読んで感想をもらえるほど程度の良いモノではないので、発表する必要もないのですが、ま、気晴らしの一環ということで。

登場人物紹介

ディムズン・サイド

アレンヴァート
 主人公。楽器演奏者。19歳。男性。
タームラータ
 放浪者、歌い手。24歳。女性。
 最近はアレンヴァートと連んで流しに忙しい。
フェイルミーラ
 術師会(じゅつしかい)会員。18歳。女性。
エリサランサ
 珠霊神社会(じゅれいじんじゃかい)会員。16歳。女性。
エントラント
 珠霊神社会(じゅれいじんじゃかい)会員。16歳。男性。
 エリサランサとは双子の兄妹。
ジェイキス
 工芸品制作者。27歳。男性。

グンニッシュ・サイド

サキウス
 主人公。17歳。女性。
エリアス
 サキウスの幼なじみ。17歳。男性。
 以前、一時期、サキウスと付き合っていたことがある。本人たち曰くところ「恋人ごっこ」だそうだが。
ミルフェス
 サキウスの友人。17歳。女性。

序章

I.

 色あせた緑。
 酷く寂しさと哀愁を感じるそれは、何を物思うでもなく冷たい風に身を躍らしていた。
 眼前にあるのは、過ぎた夏の燦々たる陽光を浴びすぎて干からびたかのように黄色が混じるようになった草や笹が生い茂る、広大な草原だった。『命干つる』と近隣の人々に形容されるこの大地は、これまで大小数え切れぬほどの戦争の舞台となってきた土地である。消えぬと嘆かれたほどの血を飲み干し、忘れ去られた多くの肉を風化させてきた悲しい土地だ。だが、大地は物言うでもなくただじっと寂しく、悲しくそこにあるだけだ。多くの人々が云うように夜な夜な戦の亡霊が恨みを語たり、憎しみを詠ったりはしない。国のため、家族のために戦った兵どもの霊はいまはただ安らかに眠っている。
 初秋ではあるが、日の出前ともなると凍えるほど身を切る寒さを感じるようになる。待ち遠しい太陽はまだ東の地平線にその姿を見せてはいないが、あと四半時もすればあっと云う間にこの近隣一帯にその存在を誇示するだろう。そうなれば、忘れかけた季節を思い出せるくらいの気温になるかもしれない。
 一頻り東の方角を見やっていた私は、そのまま黙って周囲からまだ新しい枯れ草を集めて焚き火の用意をする。風がせっかくの火をまき散らさないように西から北へ向かって覆いを立ててから、燧で起こした火種を火口に移しそのまま枯れ草の固まりへと丁寧に入れる。いつものように朝餉の支度を準備よく整えていると厚手の毛布にくるまって深い眠りについていた連れが軽く身動ぎをする。
 私はそれに構うことなく、道具袋から取り出した何本かの樹の枝をいつも通りに組み合わせて簡易式の○○(単語がわからん)を作り、水筒から適量の水を注いだ小さな鉄鍋を提げる。水が煮立ってきたところを見計らい乾燥させた野菜の固まりと乾し肉を数切れ入れ、最後に煎じてある薬味を振りかける。鼻にツンと来る匂いが立ちこめてくるようになると、漸く背後でもぞもぞと人が起きあがる気配がする。

 アレンヴァート、タームラータの会話。和やか。タームは相変わらず言葉だけはアレンに厳しい。つーか、俺の書く女はこういうタイプばっかりだな。なぜ?
 なにはなくとも、朝食を食べながら今後の展開の話。カンフェ族とのやりとりの回想はどうする? 今後の展開次第、か? 3頭の馬についての描写が必要。馬はレンタル? 街中では必要ないが、良く旅をするのであれば愛馬は欲しいが。
 フェイルミーラが来なかったことを考えるべきか? 普通に考えれば、旅の最初(と終わり?)に頭に思い浮かべるか? アレンの鈍な頭であれば、その手の話題は登らない気がするが。って、やっぱりパターンだな。

 『命干つる』草原を疾駆する3頭の騎馬。栗毛2頭と芦毛が1頭、小柄な栗毛が荷物持ち。疾駆といっても、全力ではない。時間に追われてはいないが、今日中(陽が降りる前)にケイレス(アレンたちが住む城塞都市)に着いてしまった方が楽なので、ある程度気を入れる。二人とも馬には乗り慣れている(特にタームは騎馬民族の人間で、体重も軽いのだから軽やか)。
 昼飯は食べず、自分らと馬に水分を補給するための休憩を一刻(二時間)おきに軽くとる。足場の楽な道を選びながら進んだため、予定より少し遅れた行程になる。夕方になる前に、防寒着を着るついでに最後の食事を簡単に済ませる。火は焚かず、乾し肉をかじるだけ。その後、半刻ほどでケイレスの赤茶けた城壁が遠くに見える位置に来る。馬は少し疲れを見せており、疾駆は難しい。基本的に城門は日没で閉ざされるが、市民であれば一〇の刻(夜の八時くらい)までは通してもらえる。袖の下が入り用だけど。その時刻には間に合いそうではある。
 馬の名前、どうしよう? 2頭はやっぱり愛馬にしたいけど。雪の鬣に対抗して何か付けたいものだが、はて……。「呼雪」で良いかな。北風。。。?
 門番とのやりとり、どうする? アレンとタームは有名だから顔見知りではなくても、相手は了解するだろう。あ、でも旅に良く出るのであれば、やっぱり顔見知りの可能性が高いな。兵士の男女比どうするか。んー、エリサランサがいるし、フェイルにしても「女だてら」に術師会の幹部候補……。7:3くらいか? でも、そうすると考えを変えなければならない点がいくつか。追々かな。ということは、奇を衒って女衛兵にしておくべきか。

 城壁の描写を追加する。色褪せた煉瓦造りの高い城壁。

 そういえば、アレンとタームは長旅の間、トイレをどうしていたのかな? 男女だからなぁ。。あ、でもそう言うことを気にする関係でもないか。。うーむ。その辺の描写をどの程度にするか。だいたい、アレンの思考をどこまでに留めるかってのもあるな。一人称は難しい。。っていうか、鈍だから気にしなさそうだけど……(ばく)。

 衛兵とのやりとりは、厳しいものにしよう。その方が後々楽だ。とすると、下っ端の堅い衛兵を男にして、上司を女衛兵が通すって方がいいな。そうしよう。通行パスとして一曲披露、というのは安直だからヤメ。会話としては今度店に行ったらおごれ、くらいか?
 馬は、街中で乗り回せないので、城門付近の馬預かり所兼レンタル屋においておく。当然顔見知り。タームは名残惜しそうに「呼び雪」と借りていた馬(なんにする?)の顔を撫でてやってから主人に高額のチップを渡してアレンを連れ立って自分の家(というか借宿)に向かう。当然、今日は一仕事する気はないが。

 アレンがベルを鳴らしながら扉をくぐる。店はそれ程混んではいない。アレンが演奏するときほどの客はいないが、空席が目立つほどでもない。二人はカウンターに向かって歩き出す。途中顔見知りとにこやかに挨拶を交わす。(そう言えば、収穫についてはいつ語らせるのだ?)。マスターに挨拶をして、近況を聞く。何しろ、二週間以上勝手を言って留守にしていたのだから。と、代わりの歌手くらいは入ってきていることになるな。扉をくぐる前に歌っていることにして、タームに感想をいわせるか。
 んー、できの善し悪しをどちらにするか。ケイレスで五指に入るアレンが演奏していた酒場だ、下手な奴は来ない。来ても追い出されるだろうから。そこそこできる奴で、野心があるもの。単純な脇役では済みそうもないから、名前くらい付けるか。それともたまたま今日は大人しめの人の良い人間にしてしまって、やり過ごすか。。ああ、ここで今回のネタを提供するのもありだな。
 若い歌い手は竪琴を奏でながらある部族の伝承を歌う。歌う内容は、アレンも聞き及んでいることばかりだ。竪琴の腕はそれ程悪くはない、が、歌い方に今ひとつ魅力がない。ああ、自分はタームがいるからハモりで曲の重厚さを増しているのか。改めて、隣に座る少女の声に耳を傾ける。タームは若手の未熟ながら磨けば光りそうな声に注目(注耳?)していながら、恋の対象であるアレンの目の動きには注意を払っているから、じっと見られているのに気が付くと、照れたように「なに?」と聞いてくる。少しにやけて、頬が明るいのは久しぶりの冷たい発泡酒の所為ばかりではない。
 「なんでもないよ」と軽く流しはするが、タームを怒らせるだけ。ただ、鈍な役者に「ごちそうさま」な会話はさせられない。。カコン、とフェイル登場。
 フェイルにしてみれば、いつものように言づてだけ残して他の女と旅に出た幼なじみを気にするのもしゃくだが、仕事で疲れて酒を呷ろうとした酒場でそいつが戻っているのを見ればその偶然を喜んでしまう。が、隣に座る女といちゃついているのは耐えるに忍びない。。喧嘩ができるほどの仲であればよいが、タームとの関係は実はそれ程深くはない。アレンを頂点として極端に底辺が長い二等辺三角形。。あるいは、自分が頂点である二等辺三角形か。。どちらにしても、寂しいことに代わりはない。
 って、この辺の心理描写をアレンに語らせるのか? やはり一人称を避けるべきか。。。んー、考えどころだが。。ジェイク、エリサ、エントラントに行けば、もっと辛くなりそうだが。。
 ともかく、二人に声をかける。カウンターに陣取っている二人に近づくと少し遠慮してタームの隣に腰を下ろす。戦果については、ここで語ればよいか。タームは少し残念そうに、だが、「しおらしく(これは、男を寝取ろうとしているからというよりは、単純にまたしても長い間独り占めしてしまったことに対する罪悪感。この時期、どちらにしろ二股なんて珍しくない。人間としての甲斐性でもあろうし。)」してみせる。フェイルとしては怒る気にはなれない。アレンの気質が旅に駆り立てるのだから、それをどうこういうつもりには慣れない。子供の頃、アレンと彼女の育ての親であるフェイルの父が彼をこう仕立てたのだから。「三つ子の魂百までも、か」。よく言ったものだ、ホントに。(ここで日本の(?)ことわざを使っても構わないさ、いつものことだし。歴史は繰り返す)。

 やはり気がとがめているのか、タームがフェイルの仕事を気にかける。もちろん、本気ではないのだけれど。フェイルがそれについていおうとしてとき、若手の詩がクライマックスを迎える。ふっと、三人の、というより店の人たちの耳はそちらに集中する。下手ではないのだ。

 つづく

ご意見やご要望、ご感想やご指摘は
らいと(std_breeze@yahoo.co.jp)まで。
Valid HTML 4.01! Valid CSS!