(1984オレンジの彼のショップにて口頭でのインタビューです)

自分もまだ当時試行錯誤の頃で、質問の要点は『いかにメンテナンスの要らない日常の足として使えるハイパフォーマンスエンジン』でしたのでドラッグエンジンの内容とは
異なりますのでご了承下さい。
(私が当時興味のあった事柄に対し1つ1つ回答を頂きそれに関して彼のコメントを付加したものです。)
以下で1つでも参考(ヒント)になればと願っております。

1:1.3以上のレシオのハイリフトロッカー+ノーマルキャブは冬季はまずま
ともに作用しない。

2:ヘッドの設計は40年前なのでそのままですと効率悪すぎる。(燃焼室の形状を改造すべき)
ガソリンのオクタン価も下がっているし、点火して燃焼も良いとは言えない。

3:空冷のVWエンジンは高い圧縮比を嫌う。
又デスビの進角度はそんなに上げない事。レギュラーガソリン(〜93オクタン)7.0以下を推薦しておりました。高圧縮比は105オクタン以上の燃料のみ使用しても良い。
高い圧縮比には効果的な燃料供給(効率のいい吸気システムが必須)

4:良い排気システムは吸気と連動して相互作用を生むが排気の径が大きすぎると低回転でのトルクが痩せ使いにくいエンジンになる。
基本的に回転数の上がる設計のエンジンではないのでトルクを重視すべきである。
特に低中回転域のトルクは吸排気のセッティングにかかわってくるので慎重に選ぶべきだ。

5:静的、動的にバランスの取れた部品は一回り上のバランスの良く無い物より良い。
(静的、動的にバランスが基本)
VW社の部品の精度は悪くはないが、各シリンダー別に1g以内のバランス(ロッド、リフタ−等のシリンダー別の動作部品の重量合計してのバランスを指摘)

6:急激なアクセレーしョンはクランクをねじる力が働く。特に軽量フライホイールを付けた場合に顕著にその傾向が現れエンジンの寿命を著しく短くする。
従ってカウンターウェイトの付いたダイナミックバランスの取れたクランクの使用が必須になる。(できれば〜10、000RPM)
又、クラッチ、プレッシャープレート、フライホイールを組み付けた後でのダイ
ナミックバランスも必要になる。(できれば〜10、000RPM)
メインベアリングは純正より大きな411用に交換を勧める。

7:点火系にはお金をかけ過ぎる事はない。
できるだけその時点で一番良い物を使用すべきである。

8:デスビは遠心力と吸気の両方からのコントロールを持つ205を使用を推薦する。

9:キャブレターとエアークリーナーのイクステンションはトルクアップに効果を発揮する。

10:純正キャブレターを使用の場合は排気によるインテークの余熱システムを使うべきである。(排気の効率低下より吸気の冬季の問題の方が深刻である。

11:クールチン(シリンダーに使用)は夏とハイウエーの走行にのみ効果がある。
冬の日常にのる車両に使うべきでは無い。

12:純正のドッグハウス型のハウジングがオイルクーラーの効率が一番良い。

アルミやオーバルタイプは見せ掛けで使用するべきで無い。

13:純正のシリンダーをファンで冷却する制御のシャッター+バイメタルの機構は物理的に取り付けが出来るのなら外すべきではない。
マージドヘッダーの一部で使用ができないが、日常に乗る車両用には取り付けのできる
タイプのヘッダー(たこ足)を使用した方が良い。

14:純正のクラッチは90Hpまでの設計である。つまり90Hp以下のエンジンには純正のシステムがドライバーには使い良いはずである。

15:デュアルキャブにも純正のガソリンポンプは十分な燃料を供給する能力がある。
もし純正のガソリンポンプが必要とするほんのわずかなロスが気になる人のみが電磁ポンプを使用すれば良い。

16:CDI等の点火系などを使用しても適正なプラグギャップを保つべきである。

17:オイルサンプは必需品である。
もともとの設計のオイルの量が少なすぎてエンジンには可哀想である。
最低1/2ガロンの物を取り付け、イクステンションパイプはバンドで無く溶接で付ける事をお勧めする。

18:フルフローシステムは完璧であり、オーバーホールの際は出来るだけ改造をお勧めする。

19:120Hpまでのエンジンなら純正の軽いアルミのプッシュロッドを使用すべきである。
クロモリ等の強化型は単に重く意味をなさない。

20:純正のバルブスプリングはへたって無い限り5500RPMまでは十分使用できる。
使用するカムのプロフィール/特性を考えて不要な固い物はロスが多い。

21:1番と3番の排気漏れには十分過ぎる程の注意を払うべきである。
できれば差し込みで無く、フランジを両方に溶接で付けて締め付ける改造を推薦する。

22:当社のトランスマウントは静かになるし効果は絶大である。
必要に応じてエンジンマウントとの併用が望ましい。

23:バルブカバーは純正が一番良いと考えます。
アルミの鋳造ものは熱で変型し、オイル漏れの原因の1つです。

24:クランクケース、バルブカバーからのクランクブリ−ザ−はエンジンが軽く回る為にはノーマルのエンジンでもあった方が良い。

25:エアーフィルターは出来るだけ高品質の物を使うべし。

26:デトネーションを起こしているエンジンはそのものを破壊し、出力も減ってしまう。