Network Working Group V. Cerf Request for Comments: 1217 CSCR 1 April 1991 低速動揺研究コンソーシアムからのメモ Memo from the Consortium for Slow Commotion Research (CSCR) このメモの位置づけ この RFC は RFC 1216「ギガビットネットワークの経済学とパラダイムシ フト」に答えたものである。このメモの配布は制限されない。 To: Poorer Richard and Professor Kynikos Subject: ULSNET BAA From: Vint Cerf/CSCR Date: 4/1/91 低速動揺研究コンソーシアム(CSCR) [1] は貴君の超低速ネットワーキング (ULSNET) に関する研究プログラムのアナウンス(RFC 1216)に喜んで応じた いと考えています。CSCR は無限に長い期間に及ぶ、低速、低効率なネット ワークに関する主要な研究開発プログラムをやり遂げることを提案します。 貴君の発案に関し、以下のような設計を提案させて頂きます。 1. 導入 軍事的必要性により、特に不利な環境において通信をサポートできる超堅 牢システムに対し、高額の褒賞金がかけられている。システムの生存可能 性にもっとも寄与する要因は冗長性の高さである。CSCR は、以下に示され たシステム設計が、DARPA や国防総省が大きな関心を示すような並外れた 冗長性を示すと信じている。 2. 故障耐性可搬地上通信(Jam-Resistant Land Mobile Communications) このシステムは超低速、超堅牢な転送を達成した極めて冗長な高額通信技 術を使っている。基本単位は M1A1 戦車である。それぞれの戦車は、戦車 の砲塔上の4フィートの高さに黄色の夜光塗料で 0 または 1 の数字でラベ ルがつけられている。検出手段は検討中である。 (a) 木または砂丘に据え付けられたフォワードオブザーバ(FO) はひと 続きのカラムの中の戦車の動きの二進値を reach echelon のメイ Cerf [Page 1] RFC 1217 ULSNET BAA April 1991 ンフレームコンピュータに無線で送る。そのメインフレームは、二 進値をデコードし、英数字をアスキーエンコードされたメッセージ を音声合成し、その後 FO に無線送信し返される。FO はメッセー ジを携えたランナーを所属する部隊の本部に急送する。システムの 設計は2つの冗長性、すなわち、異なる木にいる緊急バックアップ のフォワードオブザーバと蛸壺のなかに待機している三人目を含む。 (b) M1A1 可搬システムからの二進信号を検出し、ワシントン特別区に ある特別な米国の施設で処理するためにこの情報をダウンロードす る頭上の偵察衛星という手段による広域通信。対流機械 [2] シス テムは、二進のメッセージをデコードするためのコードブックのテー ブルを参照するのに使われるだろう。デコードされたメッセージは、 爆発的に発生させられたパケット流星に乗ったモールス符号により、 通信チャンネルで本省の適切な部署に中継されるだろう。 (c) このシステムにおける感度の重大な改善は、コヒーレントな検知手 段により獲得されうる。長基線干渉計を使って、前進している戦車 のカラム要素の間の位相の違いが対流機械のなかのコードブックの セットの中で選ぶ二次的メッセージを示すために使われるだろう。 位相解析がジェット推進研究所(JPL)で適切に処理されて品質が向 上したランドサット画像を使って成し遂げられるだろう。ランドサッ トによる(動いている戦車の)画像は、位相エンコードされた情報を 取得するために、SPOT 画像と関係付けられる。結果のデータは、 ステップをデコードする対流機械での利用のために、ワシントンに 向けてファックス送信される。この処理の余りは上の (b) のため にある。 (d) このシステムをシミュレートするために SIMNET を使うことが提案 されている。 3. 低速海中通信 戦艦ミズーリの16インチ砲を使い、パルスコードでモジュール化されたメッ セージが太平洋を越えてカルフォルニアの Ames 研究センター(Ames Research Center)に転送される。固定され牽引された一連の水中音声電話 の組合わせを使い、PCM 信号が固定の設備と適切に装備された潜水艦の両 方において、検出、記録、増幅、解析される。代わりの音源として M1A1 戦車の 150mm H.E. 砲の発射を使うこともできる。1991 年夏にペルシャ湾 で、この方法のテストを行うことが提案されている。 Cerf [Page 2] RFC 1217 ULSNET BAA April 1991 4. 故障耐性水中通信 上の 2. で提案された ULS システムには、単純な depth charge explosion や他の音声の雑音(例えばアナログ装置社の 3000 個のアンプを 接続したダックボイスのシンセサイザー)により容易に故障するという弱点 がある。そのかわり、故障耐性において究極のもの、ニュートリノ転送を 使うことができる。あらゆる実践的な目的において、ニュートリノを止め るものは、(数光年にも及ぶ鉛の塊も含めて)まずない。しかし、1立方マイ ルの海水が、検出可能な光子バーストを起こすような、偶発的なニュート リノ・塩素相互作用を観測するのに使えるということを示して、見つけら れた若干の断面がある。したがって、われわれは、潜水艦と通信するため の非常に有効な極低速通信システムの基礎を手にしている。 達成されるべき若干のディテール: (a) ニュートリノバーストを発生するための加速器は米国ではバタヴィ ア連邦研究所(BNL)にしかない。 (b) BNL の設備では、ニュートリノバーストを(地球の中心を通って)チ リのティエラデルフエゴのそばのサイトの方向、1方向にしか送る ことができない。したがって、すべての潜水艦はBNL を起源とした PCM ニュートリノ信号を受信するために定期的にティエラデルフエ ゴの近くを通るようにスケジュールを組まなければならない。 (c) ニュートリノバースト転送の最大レートはおよそ20秒に1回である。 北向きに設置された2平方フィートのソーラーパネルでちょろちょ ろと充電された巨大な蓄電器を放電する程度で持続可能なレートに 加速器の電源が制限されるなら、この高転送レートはかなり減らさ れることになるだろう。 5. 実効スループットをさらに減らすためのオプション (a) 反ハフマンコーディング。最瀕シンボルが最長のコードで表現され、 シンボルの頻度の割合でコード長を減らしていく。 (b) 最小可能性デコーディング。検出されたシンボルのもっとも可能性 の低い翻訳結果を選択し、デコードエラーの可能性を最大化する。 (c) 蛍暗号。(石工が蛍全体を揺らす)ランダムな信号は光学的な結合に より転送される信号を暗号化するのに使われる。受取り側のサイト では、別の蛍のゆらゆらがメッセージの復号に使われる。転送側と Cerf [Page 3] RFC 1217 ULSNET BAA April 1991 受取り側の蛍のゆらゆらの間には、本質的に相関がないので、復号 がうまくいく可能性は、実に低く、非常に低い実効転送レートを産 み出す。 (d) 再帰的自己カプセル化。レイヤー化した通信が優れたものであると いうことは当たり前なので、もっとレイヤーを多くすることはより よくなければならない。OSI の7レイヤーそれぞれで再帰的にカプ セル化し、49レイヤーの通信モデルとすることを提案する。この方 法により達成された冗長性と再送性、フローコントロールは、実に どんな情報が転送されようとも、超低帯域システムを実現するはず だ。最上層のアプリケーションレイヤーはキャラクターセット毎に 32ビットでエンコードされた ASN.1 を利用することを提案する。 (e) 拡張性。初期の地上可搬型通信システムの M1A1 戦車は改良できる。 戦車をシャトル発射車両に代えて、実効データレートを減らすこと を提案する。信号発信のより遅い方法のみがロサンゼルスエリアの フリーウェイの車を使用する。 (f) ネットワーク管理。ULSNET の標準として低速ネットワーク管理プ ロトコル(Slow Network Management Protocol (SNMP))を採用する ことを提案する。すべての標準の管理情報ベース(MIB)の変数はセ ルビアクロアチア語で表現され、すべての計算は逆ポーランド式で 行われる。 (g) ルーティング。2つの代替物を提案する: (1) マッシュポテトルーティング (2) 航空貨物ルーティング [S. Cargo による] 前者は入ってくるパケットが転送される前に長時間保持するという 方法である。保存のためのスペースが問題となるなら、ランダムに ビットを削除してパケットを圧縮する。パケットは送信者に返され る。後者では、パケットは初めのスイッチで間違ったラベルがつけ られ、ネットワークを通じて移動されるようにランダムにラベルを つけられる。実際の意図された宛先にルーティングされないように、 転送の前に特別なチェックをする。 CSCR は、我々が要求の転送の仕方を解決できたらすぐに、この議題につい ての、引き延ばされた、実りのない議論を貴君としたい。 Cerf [Page 4] RFC 1217 ULSNET BAA April 1991 注釈 [1] コンソーシアムは 1991年3月27日に設立され、MIT の David Clark, John Wroclawski, Karen Sollins、BBN の Debbie Deutsch、ISI の Bob Braden、CNRI の Vint Cerf 他、その名前がアルツハイマー的忘 却の彼方に消えてしまった人々をメンバーとしている。 [2] 「対流機械」は無思慮機械社(Thoughtless Machines, Inc.)の商標で ある。この会社は熱気協会(Hot-Air Associates)と空気頭インターナ ショナル(Air Heads International)のジョイントベンチャーで、ニュー ラルネット社から水蒸気製品を使う。 セキュリティに関する考察 セキュリティに関する議論はこのメモではしていない。 著者の連絡先 Vint Cerf Corporation for National Research Initiatives 1895 Preston White Drive, Suite 100 Reston, VA 22091 Phone: (703) 620-8990 EMail: CERF@NRI.RESTON.VA.US Cerf [Page 5]